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オーディオ技術の概要


はじめに

オーディオについてシステムのことや言葉が分からない方への解説を作りました。



アナログとデジタル

アナログとデジタルと、よく言いますが、分かっていないで使っている人も多いようです。
アナログとは、大きさ自体が問題となる信号です。デジタルは大きさとは関係なしに、中にあるデータが問題となる信号です。つまり、1という意味の信号でも、100万という意味の信号でも、大きさは同じです。長さも同じ。中に書いてある数値が問題となる信号なのです。
1920年頃から、真空管を使った増幅器(アンプ)が開発され、信号に含まれる情報は、信号の形が表しています。大きくなったり、小さくなったり、細かく震えたり、緩やかに波打ったりという形が大事で、信号を伝えるときには、この形を保ったままにすること重要でした。アンプというのは、その全体の大きさは変えますが、あくまでも相似形にしなければなりません。アナログとは相似形という意味なのです。例えば、1Vの高さがある部分を、10Vに増幅したとき、0.1Vの部分は1Vに、0.01Vの部分は0.1Vにという具合で、この関係を絶対に崩してはなりません。
増幅器が真空管からトランジスタに変わっても、トランジスタが集積回路(IC)に変わっても、その点は全く変わりません。オーディオ・アンプは、今でもそういうために使われているのです。アナログ・レコードをかけるときに使うカートリッジからは1mVくらいの信号しか出て来ません。アンプはこれを千倍の1Vくらいにまで増幅する必要があるのです。
デジタル信号は、内容が問題ですが、アナログとは違い、信号を解釈しなければなりません。オーディオ機器では、アナログ信号をエンコードして、デジタル信号とし、これをデコードしてアナログ信号に戻す作業が必要となります。CDなどは、既にメーカーがエンコードして、デジタル化した音楽を書き込んでありますので、これをCDプレイヤーが読み出して、デコードしてアナログ信号を出力しています。パソコンが一般的になってからは、パソコンがエンコード能力を持てますので、自分でCDに焼いたり、デジタル化した音楽ファイルを再生できるようになりました。デジタルとは指に関係した言葉で、数値を表すと思ってよいでしょう。
なお、ついでですが、デジタル・アンプは数字とかデータとしてのデジタルとは関係ありません。出力はあくまでもアナログですが、今までのアナログ・アンプとは原理が全く違う方式の増幅器です。簡単に言えば、アナログ入力電圧信号を細切れに刻んで、電圧の高さをパルス幅で表すようにするアンプです。メリットは効率が非常によくなることです。アナログアンプでは、信号がない場合でもかなり電力を熱として消費していました。しかし、デジタル・アンプでは90%くらいの能率がありますから、熱が殆どでないアンプが作れます。つまり、放熱器が要らない、あるいはかなり小さくできます。その分増幅用トランジスタも小さくて済むので、コストもかなり下げられるのです。


CDプレーヤー

CDプレーヤーはコンパクトディスク(CD)に録音されている音を再生するための機械である。録音はデジタル方式で録音されている、つまり音を数値にして記録してある。この数値化をするときのデーターの長さが、16ビット(2進法で16桁)あって、音楽信号の大きさを65,000ほどのレベルに分類する。周波数は20,000ヘルツまでを記録する。よく、本物の音楽には20,000ヘルツ以上の周波数成分があるのだから、これでは足りないと言う人がいる。アナログレコード(LP)にはそういう高い周波数の音が入っているから優れているということも言われる。本当にそうか?実際に聴き比べをして言っているのか疑問である。単に録音の仕方や、ミキシングの仕方が違うのでそういう気がするのではないかという気がする。
さて、数値を取り出して、電気信号に戻す仕組みはレーザーをCDの表面(レーベルのない裏側)に当て、その反射光を電気のデジタル信号に変える。この信号から左右の音声信号や同期信号を分離し、次にデジタル信号を最終的にスピーカーに流す信号であるアナログ信号に変換するための変換器を通す(これがDAコンバータ)。この変換器を出て来る信号はまだ荒削りな角が立っているので、その角を取るためのフィルターに入れなければならない。その後、出力用のバッファアンプがあり、信号が出力端子へと出てくる。
最初にCDプレーヤーが発表された当時、デジタルだからプレーヤー間の音の差はないと信じられていた。しかし、実際には大いにあったのである。それらを列挙すると、CDから同期信号を抜き出すところ、デジタル・アナログ変換器の正確さ、フィルター回路の違い、出力アンプの性能、筐体内のノイズなど、様々の要素が考えられる。プレーヤーの値段の差にはそういう設計の違い、ブランド料が含まれて、数万円から、数百万円クラスになるのであろう。最近数年間をみても、どんどん音質は上がっていると考えて差し支えない。ただし、それ故に実質上の値段は下がっている。

CDトランスポート

トランスポートはCDプレーヤーからDAコンバータ(デジタルの音楽データをアナログの信号に変換するもの)とアンプを取り除いたものだ。これだけでは使えない代物。これに外付けのDAコンバーターをつなげて初めて使用できるものである。では、何故こんな商品があるのだろうか?それは音の好みの問題と何らかの欠点の有るプレーヤーがあるからだろう。単独のDAコンバーターに匹敵する回路、構造のものは殆どないからということもある。超高価なプレーヤーの数分の一の値段で購入できる可能性があるからという理由で私は使っている。(10.07.00) 

DAコンバータ

トランスポートと組み合わせて、あるいはプレーヤーのデジタル出力とつないで使用する。オプティカル・ケーブル、同軸ケーブルなどで接続する。トランスポートとDAコンバーターでプレーヤに相当すると思ってよいだろう。よいDAコンバータで音が見違えることがある。大変高級なものは100万円を優に超えるが、その価値の有るシステムを持つ人が果たして何人いるのか。最近恐ろしく音のよい大型スピーカーの音を聞いたが、そのときのトランスポートとDAコンバーターの合計は20万円台。うまく探せば、この値段でトップクラスの音が手に入る。

最近は、PCオーディオで使用するUSB入力のDAコンバーターもあるので混同しないように。こちらは、パソコンの音声出力をUSB経由で接続したDAコンバーターに切り替えて使う。 ただし、相性とか、プレイヤーアプリや各種ドライバーによって、期待した音質にならないで苦労することもある。


プリアンプ

プリアンプ(コントロールアンプとかラインアンプとも言う)は音源とパワーアンプを結ぶ物である。音源を選び、音質を整え、パワーアンプが必要とする電圧まで増幅し、ケーブルを含むパワーアンプをドライブする。だから、プリアンプにはセレクター・スイッチ、ボリュームが必ずあり、それに高音低音などの調整のできるスイッチやつまみのあるものもある。何故か値段に反比例するようにつまみやスイッチが減っていくのが面白い。必要のない機能は最初から付いていない製品の方が好ましい。
最近のプリアンプにはアナログレコードに対応していない製品(フォノイコライザーが内蔵されていない物)もあるので、購入時には注意すること。このようなアンプは、ラインアンプとも呼ばれる。

パワーアンプ

パワーアンプ(プリアンプに対して、メインアンプとも言う。)はスピーカーを鳴らすための重要な役目を負っている。スピーカーは抵抗が低いのでプリアンプを直接つないでも音が出ない。電気信号はCDプレーヤーでもプリアンプでも電圧で送られるが、パワーアンプは電力を送り出す。だからパワーアンプと呼ぶのである。出力は小さな物では数ワットから、大きいものでは数百ワットクラスまである。スピーカーの能率との関係があるが、真空管式であれば数ワットの物でも実用になる。トランジスタ式では10倍くらいは欲しい。定格最大出力を得るための入力は1Vくらいに設計されているものが多い。
パワーアンプは周波数特性、歪率、それに出力の大きさ以外の要素がないと思っている方もいると思うが、実際にはアンプごとにだいぶ違って聞こえる。小さい音でも大きい音でも音質の変わらないもの、大きい音が出るときに頭打ち感があったり、他の音が崩れてしまうことがないもの、大きい音が出るときにいやな感じの音にならないもの、低域の伸びがよく高域のきれいなものなどが大事である。とは、言ってみてもそのようなアンプを見つけることは意外と簡単ではないのだ。カタログスペックでの歪率や最大出力はほとんど参考にならないと思ったほうがよいだろう。
とにかく、スピーカーとパワーアンプをきちんと選ぶことができれば、あとはずっと簡単である。だから、ここは頑張って買う前に時間をかけることをお奨めする。(12/27/02改)


フォノ・イコライザー

以前はプリアンプに必ず内蔵されていたのだが、CDが普及するにつれ徐々になくなってきた。最近アナログ盤の復活がされてまた状況は変わっては来たが、完全な復権は難しいと思う。イコライザーの役目は、一つはレコードピックアップからの微小な電圧(数ミリボルトクラス、つまり乾電池の電圧の1/1000ぐらい)をある程度大きくすることと、レコードの周波数特性を補正してフラットな周波数特性にするためである。イコライザーはその機能から来た名前である。レコード盤への音の記録の際に、ノイズを避けるためと音溝の幅が大きくなり過ぎないように、低域は下げて、高域は持ち上げてある。だからアンプを逆の特性にして補正するのである。イコライザーを装備していないラインアンプのために単独のイコライザーも販売されているが、普通は高級品しかない。

カートリッジ

アナログ・レコードの再生には先に針の付いているカートリッジが必要だ。大きく分けて、MC型とMM型とに分かれる。MC型は針の振動でコイルを動かす。このコイルを磁気回路中に入れると電気が起きるという仕組みで、ムービング・コイルを略してMCという。動かすコイルは軽くするために巻き数を取れず、出力電圧は小さい。逆にコイルの中で、磁石を動かすタイプをムービング・マグネット、略してMM型である。出力電圧は大きめで、増幅がしやすい。一般的に、MC型の方が音が繊細であると言われているが、値段も高めで、微少電圧をノイズを押さえて増幅しなければならない関係でアンプも高価になる。最低3−5万円はかけたい。

トーン・アーム

トーン・アームはカートリッジをレコード上で支える棒のようなものだ。一般に安物はカートリッジの交換ができなく、高級品はカートリッジを何個でも取り替えられる仕組み(ユニバーサル)になっていると思われているようだ。しかし、最近高級機だからこそ、カートリッジはよいものを一度取り付けて交換しないタイプが増えてきた。実際に聴くと、交換しないタイプの方が、ずっとよいと感じている。ユニバーサルタイプのコネクタには問題があるのではないか。それから、トーン・アームのできがよくないと、せっかくレコード溝からの振動をカートリッジ本体が受け取る前に、アームが吸収したり色づけしたりするようだ。つまり、アームによいものを選ばないと、カートリッジにいくらお金をかけてもぼけた音にしかならない。

ターンテーブル

ターンテーブルはアナログ・レコードを回転させるためのものだ。大きな四角い板の真ん中に直径30センチくらいの円盤が付いている。あとはアームを取り付けるための場所が用意されている。それだけだ。こんなものでも普通のレコード・プレーヤーより高価なものが多い。たいていの人はターンテーブルには興味はないのではないか。まずレコード・プレーヤーを買うものだ。レコード・プレーヤーにはターンテーブルにトーン・アームもカートリッジも付いている。それで値段は1万円ちょっとくらいで結構まあまあなものが買えるようだ。しかし、本当によい音を手に入れるには、ターンテーブルを単独で買うしかないのだ。そうすれば、まず何が問題かも掴みやすい。アンプやスピーカがある程度の音質に到達すると、ターンテーブルの音の善し悪しがはっきりと分かるようになってしまう。僕の経験ではターンテーブルには30万円くらいは仕方のないところだ。

アナログ・レコードの再生は高価

アナログ・レコードの再生である程度よい音で聴こうとすると、大変お金がかかるのが分かるでしょう。MCカートリッジを使うには更にプリ・プリアンプとかトランスが必要ですから、イコライザーまで入れるとすぐに100万円ということになってしまいます。ですから最初からあきらめて、その分の半分でもCD再生にかけるという手もあります。幸い、昔とは違いCDでもなめらかに鳴らすことができますので、低域や安定性を考えるとCDは便利この上ありません。LPの音に魅力があるというのは確かですが、うまく選べばそれほどの不満はないと思います。


スピーカー

ラウド・スピーカーと言うのが正式名。スピーカーには様々な方式があるが、基本的には電流が永久磁石の磁界内にあるコイルに流れると、コイルを動かす力が掛かることを利用する。コイルの先に紙、あるいはジュラルミンのコーンを取り付けて、それを振動させ、空気中に音を発生させるのが、ダイナミック型コーン・スピーカーで、これが現在のスピーカー・システムの主流である。音域を広くして音声帯域を一本でカバーするものと、一定の音域だけを再生するものをいくつか組み合わせるものがある。音程が低くなるほどに径が大きくなる。ホーン・スピーカーはコーンの代わりにジュラルミンの板を振動させ、その先にホーンを取り付けてある。効率がよいのが特徴であり、プロ用には昔から多く使われてきたが、大型になるので家庭用ではあまり使われていない。このスピーカーのユニットを箱に入れる理由は、単体ではコーン紙の表裏で逆向きの音波が同時に発生し、打ち消し合うからである。低音はほとんど聴こえなくなってしまう。それで、両方の音が混ざらないように分離するのが基本的な理由である。

  スピーカー・システムをどう選ぶか

現在市場にあるスピーカーで、一般の人が手に入れるものは、殆どがブックシェルフタイプの密閉型かバスレフ型と思われます。(密閉とはスピーカーを取り付けた箱には空気が漏れる穴がないという形式。バスレフは低域を出すためにポートという管が正面に取り付けられているので、穴が見える形式。)電子回路とは違って、機械の一種であるスピーカーは、基本的に安い物ではありません。ですから、安いスピーカーシステムは何らかの妥協が入っていると思うのが妥当でしょう。この妥協が音質に対して行われている場合も大いにありますので、購入する前によほど吟味しなければなりません。
スピーカーユニットが一つしかないシングルコーン・スピーカーシステムだから駄目ということは全くありません。豪華に見せるための3ウェイ(3つもスピーカーを、高音用、中音用、低音用に振り分けるもの)スピーカーは音質を一貫したものにすることが難しいので、廉価なものは避けた方がよいでしょう。さらに4ウェイなどもありますが、感心した音のものは少ないようです。私の好みでいえば、シングルあるいは2ウェイくらいのものが一般的にはよいかと思います。密閉、バスレフどちらでもいいのですが、無理に低音を上げたものは明瞭度が下がりますので、格好や方式にとらわれずに音質重視で選ぶのがお勧めできます。低音がほしい場合、どうしてもスピーカーのサイズが大きくなります。大きいスピーカーから出る低音は気持ちがよく、音階もはっきり分かります。逆にいくら低音が出るようにスペックにあったとしても小型のスピーカーでは無理があります。低音の音階が分からなくなったり、ましてや楽器の音色などは分かりません。音が混ざり合って、気持ちの悪い音になります。無理をせず、サイズなりのバランスにした製品のほうが音がよく聞こえます。


真空管とトランジスタ

真空管は1910年頃からある技術で、トランジスタは1950年頃からの技術である。真空管は普通はガラス管に入っていて、内部は真空である。ヒーターという電熱線、あるいはヒーターで暖めた金属板から発生する電子を飛ばし、プレートで受け止める。電子なので、一方向にしか電流は流れない。ヒーターとプレート間にグリッドという電極を挿入し、ここに負の電圧を掛けると電子の流れを制御することができる。つまり入力電圧をグリッドに掛けると、対応した出力をプレートに得る。プレートの負荷に抵抗があると電圧出力が出る。これが増幅である。ヒーターの点灯している様子が外から見えるので、これが好きだという人が多い。
トランジスタは固体の中を電子が走ると考えてみよう。固体ではあるが、性質の違う3部分に分かれている。真ん中がベースという薄い部分であるが、ここに流した電流の何十倍何百倍の電流がコレクタという電極に流れる。真空管が電圧で制御するのに対して、トランジスタは電流で制御するのである。真空管と同様にコレクタに抵抗をつなぐと電圧出力が取り出せる。
オーディオアンプには、真空管でもトランジスタでも使えるが、一般的なものはすべてトランジスタ式と思って間違いない。それはトランジスタの方が機械的に壊れにくく、しかも量産ができるからである。真空管は現在も作られているが、殆どはオーディオ用ではないだろうか。

バーン・イン (慣らしこみ)

スピーカーのコーン紙は新品のときは硬く、バランスのある音がしない。だからわざと店頭展示品を購入する人がいる。(値引きも大きいしね) とにかく買ってからまず一週間はまともな音が出ない。実際には半年くらいはかかるだろう。とにかく大き目の音で、どんどん鳴らす事だ。一軒家なら、大きな音を出して、外出すると普通に慣らすより早く仕上がる。マンションなどにいる人はできないので、自分がいるときにはとにかく鳴らしつづけることが必要である。オーディオ・テスト用CDには、バーンイン用の音源が入っているくらいである。
ところで、アンプにもこのバーン・インが必要である事を知っているだろうか。なぜかは分からないのだが、パワーアンプを買ってから一週間以上使って初めてまともな音がして来ることが多い。(10.07.00)


アッテネーターについて


アッテネータとは信号電圧を減衰させるものです。どこのアンプにも付いているボリュームもアッテネーターと言える。ところが、殆どのメーカー製のアンプに付いているボリュームの品質は意外と問題があるようだ。プリアンプが何のためにあるのかということも含め、この問題を考えてみよう。現在、CDプレーヤーなどのデジタル機器から出ている電圧は最大2Vが普通である。一方パワーアンプが必要としている最大入力電圧は 1V位となっているのが普通である。ボリュームのツマミを半分くらいに上げても再生音が大きすぎる方も多いだろう。だから、極端なことをいえばプリアンプの増幅部分はなくても困らないはずである。トーンコントローラーが絶対必要と思っている方を除いては、減衰させる機能のみで十分な方が多い。つまり、CDプレーヤーとパワーアンプの間にはアッテネーターのみの構成がシンプルで音がよいものが作れる。このときアッテネーターには一般的なボリューム、高級なボリューム、抵抗ネットワークと多段回転スイッチが考得られる。高級ボリュームを使うのが一番作りやすいものだ。(例えば、アルプスのデテント型)
一般的なボリュームであっても、値の選び方と配線技術によっては結構いい音になる。少なくとも下手なアンプよりも聴きやすくしかも実質上のS/N比がよいものになるだろう。高級ボリュームではその音が聴きやすいだけでなく解像度が上がる。そして個別抵抗ラダーによるアッテネーターでは信じられないほど音が生き生きとしてくる。このアッテネーターを箱に入れたものはパッシブプリアンプと言って、特殊で高級なものしかなく、値段も20万円位する。(増幅しないのにプリアンプという名は正確でないが、なぜかこういう名前である)自分で作れば、高級ボリュームのもので5千円くらい、抵抗式のものでも2万円くらいでできる。もちろん凝れば、材料費だけでも10万円くらいはすぐ行くが、そこまでかける意義はあまりないだろう。このアッテネータの前に入力のセレクターも付ければプリアンプが全然要らなくなる。音は大変すがすがしくなる。是非一度お試しを。
プリアンプが必要なのは、トーンコントロールが必要なとき、多くの入力を切り替えたいとき、好みの音が特定のプリアンプで達成できるとき、パワーアンプまでの距離が遠いのでアンプが無いと、ケーブルの影響で高域が落ちてしまうことを防ぎたいとき、などにある。それ以外の方は、ぜひこのパッシブプリアンプというか、セレクター付きのアッテネータを一度試してみることをお勧めする。


真空管アンプについて

真空管なんてまだ手にはいるのかと思う方が多いのではないでしょうか。実際のところ、現在は真空管の入手には困らない時代なのです。中古品、新古品(未使用品の中古品のこと)も数多く残っていますし、新品もあります。少なくともオーディオ用としては、ロシア、中国、米国などで製造されています。たいへん特殊ですが、日本でも独学で真空管の製造を始めた人がおります。
市場で手に入るストック品は、東芝、松下、日立、マツダ、GE、RCA、Sylvania、WE、Philips、Telefunkenなど、新品はSovtek、Svetlana, WE、Cetronなどがあります。
トランジスタアンプが当たり前の時代に真空管のメリットはあるのでしょうか。これについては音を聴いて判断してもらわないと分からないと思います。ただ、世界中に真空管アンプのファンがおり、特に高級アンプの世界では当たり前のこととなっていることをお伝えしておきましょう。
私の場合、真空管アンプを使っているのは、音質が気に入っていることと、回路をいじり易いこと、出力の割に廉価であることなどでしょうか。それにスピーカとの相性の問題もあります。

 

 

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真空管物語

「歴史」
真空管発明のきっかけになったのは、エジソンの電球開発である。フィラメントの影のようなものが、電球のガラスの内側に付くことを防止するために、別の電極を加えてみたのが最初である。エジソン効果という現象であるが、エジソン自身は興味がなかったらしい。これが1880年。その後2極管というラジオの検波(高周波に含まれる音声を取り出す回路)用の真空管が発明される。弁(バルブ)の様な働きという意味で、現在も真空管一般をバルブという場合がある。その後、三極管という増幅に使える真空管が1908年に発明される。その改良の5極管とかビーム管と言う真空管も発明されるが、応用は、電話の中継、ラジオ電波の送信、ラジオ受信機、映画のトーキーなどである。ほとんどの真空管のデザインが完成域に達したのは1935年前後である。パッケージが大きかったものが、中ぐらいになり、電力管(熱の関係で大きくなければならない)以外のものが、ミニチュア管と言うものまで改良されたのが、1930年代である。これ以降は、多くのモデルが開発されたが、基本的には組み合わせの違い、バリエーション、特殊用途で、目新しいものは少ない。 

「製造と応用」
真空管の製造は1980年代までは、アメリカでも行われていたようであるが、基本的には保守用の製造であったと思われる。これは、プロ用の機器に使われていた関係で、需要が続いていたからである。(東欧、中国は相当後まで続いていた。)どうしても真空管が必要な機器の保守用として、最後の大量発注があったはずである。
その後、真空管は冬の時代を迎える。このころ、残った真空管を買い漁って値上がり益を得ようという輩も現れ、真空管を手に入れにくくなった。しかし世界中で、真空管でなければやはり駄目だという声が大きくなった。その用途は、オーディオである。まず、高級家庭用のオーディオアンプ、プロ用の録音用マイクアンプ、エレキギター用のパワーアンプなどである。それらの需要が、世界中に残った真空管製造設備を再度稼働させるきっかけとなった。共産圏の真空管はオーディオ用としては品質が悪かったが、その後改良され、今では何の問題もない。現在製造を続けているのは、中国、ロシア、チェコなどである。日本では、個人で機械を買い込み、材料工程の研究をし、真空管を一から作ってしまった人間も出た。数年前、AT&Tの子会社である米ウェスタンエレクトリックが、トーキー用として1937年に開発した、有名な真空管WE300Bの製造を再開した。これは設備と材料が残っていたからで、当時のエンジニアも、探し集めたそうである。ただし、ものはすぐにできたのだが、1950年代にあった音質に戻すことに苦労し、2年もかかったとのことである。何年か前、米軍が持っていた保守用真空管が必要なくなったという理由で、数十万本と言われるストックをすべて市場に放出した。整理番号のスタンプが押してある白箱に入った真空管を秋葉原でもよく見かけるようになった。真空管の復権には、日本のオーディオマニア、雑誌の働きが大きい。トランジスタ全盛時代になっても、真空管アンプの製作記事を書き続けた雑誌があり、部品を供給したメーカーがある。今現在でも、真空管アンプは、特に中級から高級機にかけて、世界中で開発販売されている。

「音質」
今でも真空管が使われる理由は、単なるノスタルジアではない。ミュージシャンは、真空管アンプは、低域が1オクターブ下がった感じがあるという。つまり迫力が違うことを強調する。また、大入力を入れても安定していて、耳障りな音がしないこともある。プロ用のマイクアンプに真空管を使うと、出力側にアッテネータがほとんど要らないこと、音量に関わらず、歪み感が少ないことを主張する。オーディオマニアなら、中域の充実感、水が流れるようにスムースな音、小出力でもスピーカを上手くドライブできることを主張するだろう。




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自分のシステムを購入するには


自分のシステムを購入することは、簡単ではありません。何がよいかを見つけなければなりません。部屋の条件、好みの音楽ジャンル、妥協点は何か。要素が多すぎますので、簡単ではありません。自分の考え、好みが、探している最中にも変わっていくのが厄介です。
音楽ソースはCD一本槍でよいと思います。SACDやDVDオーディオは趣味によりますが、お金をかけただけのことがあるかは疑問です。アンプやスピーカーを整備した後の話ですね。

1. よいリスナーとなりましょう。気を付けて聴く習慣をつけます。
2. スペックはあまり見ないようにしましょう。例えば、アンプの歪率は、聴感上全く参考になりません。それは歪の性質が書かれてないからです。有名メーカー製だからよいと信じる人は、もうよい音を手に入れられないと思ってください。よい品物を選んだら、結果的に有名メーカー製だったというのはよいのですが。
3. 外観デザイン、ブランド、値段なども、判断に影響します。自慢したい、見せびらかしたいという心が音質への判断を誤らせます。高ければよいというのも、自信のなさが表れています。ここである事件を紹介しましょう。欧州製のアンプですばらしいパネルデザインのものがありました。一方、日本メーカーがいつもと同じようなアルミパネルのデザインのアンプを出しました。値段は3倍は違ったかと思います。ところが、アンプの中身は全く同じだったことが後で分かってしまったのです。つまりパネルのデザインだけに30万円ほど出していたことになるのです。高く評価されていた高級でおしゃれなアンプは実は日本製の中級アンプと同じ音がしていたはずなのですが、雑誌での扱いは全く違っていたと思います。
4. 人の意見はあくまでも参考、話半分と思ったほうがよいでしょう。あなたの友達は知識は豊富でしょうが、音を聴いているでしょうか。あなたのシステムはあなたのものなのです。これは、パソコンを購入するのとは違うのですから。知識よりどう聴こえるかです。カタログやスペックは、その後で参考にするのです。有名評論家が言ったからといって、あなたに合うとは限りません。彼の持つ豪華システムでは、これがよいといっているのではないですか?あなたと音楽の好みが近い評論家を見つけましょう。彼の勧めるシステムはよい可能性が大ですから。

 

 

 


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