HOMEへ戻る


オーディオ四方山話

はじめに

色々な話題を徒然なるままに書いてみました。まあ、当たってない意見も混じっているかも知れませんが、そのときはご容赦を。


超高価なハイエンドオーディオ製品

昔から高価なオーディオ製品は出ていましたが、今ほど多くなかった気がします。 一番高価なのは、日本製のターンテーブル(アームもカートリッジもなく、ただレコードを回す部分のみ)で、回転する部分だけで120キログラムという恐ろしい重量があります。テクダスのAir Force Zeroと言う製品で5千万円です。
また、レコードのイコライザーアンプではHSEスイスのMasterline 7というモデルの870万円があります。
スピーカーも1500万円とか。パワーアンプも1千万円。DAコンバーターでは350万円。カートリッジも30〜100万円とか。さらにケーブルでも,メートル当たり数十万〜100万円とか。
この様な大変高価な製品は誰が買うのでしょうか。それにそれほど性能がよいのでしょうか。私もそんなシステムは殆ど聴いたことがないので想像しか出来ません。
唯一、1千万円クラスのスピーカーは聴いたことがあります。姿から現代アートの作品のようで美しかったし、かなり大きく、普通の家に置けるようなものではなかったです。音もとてもよかったのですが、多分300万円くらいでも同じ様な音はするかも知れません。 そのとき使用したアンプは200万円クラスでした。

米オーディオ誌の推奨モデルなど

米ステレオファイル誌では、毎年推奨オーディオ機器とランク付けを行っています。その号はよく売れるそうです。皆あまたあるモデルの中から、次に買う機器の評価を知りたいからです。同誌は長く続けていて、信頼されています。 そのランクはAからDまでありますが、Dクラスであっても普通の人が買う製品より上だというのです。 Aクラスであれば、好みは別としてかなりのマニアであっても満足できる高忠実度再生が出来ると言ってよいでしょう。
個人的には、音楽好きの方でも、BかCクラスでもほぼ満足出来るシステムは組めると思います。Aクラスは非常に高いシステムも多いですし、そこまで追求する必要性がないかも知れません。ですから、B、Cクラスから納得するモデルを選べばリーズナブルな製品が手に入るからです。 DAコンバーターは全体に安くなって来ましたので、Aクラスの安目が狙い所です。
パワーアンプもデジタルアンプが増えてくるに連れ、リーズナブルで高音質の製品が増えてきました。ただし、オーディオ専門誌では取り上げられない傾向があるので、知人に聞くか、ネットで調べてみましょう。
同じくらいの音質であっても、価格は10倍も違うことがあります。

Aクラス:最高のレベルに達した製品。妥協を殆どせず、音質を追求している。本物の演奏と殆ど違わないほどにリアルである。
Bクラス:すばらしい音質だが、Aクラス程ではない。値段はAクラスよりは安いが、それでも非常に高価なものが多い。
Cクラス:ハイファイと言える中では下のレベル。それでも一般家庭用のシステムから比べると遙かに自然である。高品質だが購入しやすい価格
Dクラス:音楽的に満足できるが、ハイファイ度が低かったり、妥協が大きい。例えばダイナミックレンジなどである。それでもDクラスのコンポーネントの組み合わせで音楽的な満足を得られる可能性があるので、推奨している。

それではどんな製品が推奨されているか見てみましょう。定価の比較で何となく感じてみてください。

以下は2019年10月号での結果です。
レコードカートリッジのAクラスの価格は、$1,700から$20,000、Bクラスでは、$750から$2,750、Cクラスでは$299から$750と急に安くなります。Dクラスで$49の製品がありました。
ターンテーブルのA+クラスの価格は、$30,000。Aクラスは、$3,300から$36,000まで、Bクラスでは、$1,500から$19,500でした。
トーンアームのA+クラスの価格は、$53,600、Aクラスでは、$1,900から$23,500です。Bクラスでは、$600から$2,500です。
パワーアンプのAクラスは$3,000から$119,000、Bクラスは、$488から$16,000です。
プリアンプのAクラスは$2,500から$37,000です。
ディスク/ファイルプレーヤーのA+クラスは$2,500から$28,500です。Aクラスは$800から$43,000です。Bクラスは$850から$6,800です。
DAコンバーターのA+クラスは$2,200から$30,000位です。Aクラスは$399から$8,500がありました。
スピーカーのAクラスはフルレンジで$22,000から$130,000、低域が若干足りなくてよければ$1,500から$50,000、Bクラスのフルレンジは$2,000から$20,000、低域が若干足りなくてよければ$600から$8,400,Cクラスは$350から$4,000です。

なお、スピーカーで低音が足りないという意味は。30Hz以下が出ているかの評価らしいです。最近の大型スピーカーでは20Hz辺りもきちんと出ているので。
昔の大型ではアルテックのボイス・オブ・ザ・シアター(1000人も入るホールで十分使える音量があります)で30Hzくらいです。

同じクラス内の価格の差も大きく、また下のクラスよりも上のクラスの方が安いこともありますので、よく調べて買いましょう。

この中から、少し日本製と思われるブランドを紹介しておきましょう。
Technicsの高価なターンテーブル SL-1000RとSL-10RがAです。
カートリッジは日本がお得意な分野ですね。オーディオテクニカ、光悦、ダイナオーディオなど沢山あります。デンオンのDL103も入っています。Bクラスですが、お買い得品マークが付いていました。日本では検索しても見つからない、華、宮島、奇跡とかも。なお、このリストには選ばれていませんが、元グレースの方がデザインしたトップウィングの青龍・朱雀という100万円くらいの製品の広告が同誌に載っていました。
ディスク/ファイル・プレイヤーではエソテリックのN-01がA+評価。
パワーアンプには何とエレキットの300BアンプがBクラスと評価されてます。ラックスマンのL-509X(インテグレーテッド・アンプ)という百万円のモデルがAクラスと。
スピーカーではソニーのSS-NA5ESがB、TADのME1がA評価でした。


よいオーディオ製品を手に入れるには

まだ考えが固まっていないのですが、よいオーディオ製品を手に入れるには....

巷の雑誌記事や、広告を読み、あるいは試聴会に行っても、何がよい音かを見つけるのは意外と難しい。

実際、有名オーディオショップの試聴会でも、派手でうるさい音ばかりという悲惨な例もある。また、メーカーの視聴室に行ったからといってもよい音が聴けないこともある。そこは製品発表会も行うところなのだが。 ところが、一般人の入れない同じメーカーの本社視聴室で聴かせてもらったら、こちらは素晴らしい音でした。どうなっているんでしょうね。

耳の能力は各自が違う、それに頭脳の信号処理、解釈に違いが加わる。だから聞こえ方は人それぞれだが、意識している人は少ない。

広告ではもちろん自社製品を褒めまくっている。記事の中にも、宣伝が紛れ込んでいたり、メーカー担当者との交友関係があったりするので、歯に衣着せない様な悪口は書けないことが当然起きてしまうこともある。

宣伝する人の中には、非常に長けた人がいるので、必要のないお客にも売れる。耳が鋭くない人にもおだてて売ってしまう。もちろんこれは長くは続かない。カメラを見ても、それは分かるだろう。皆がいつかは一眼レフを手に入れようと思っていた時代が、使い捨てカメラが出たら夢が壊れてしまった。こんな簡易なカメラでも思い出には十分と。

既存のメディアが信用できないとしても、ネットの書き込みを見てもここには玉石混交の意見が混じっていて返って混乱するだろう 一度集中して読んでみたが、かなり独善的だったり、事実誤認、耳が悪くて聴いても善し悪しが今一分からない人が知ったかぶりをしていることなどが混じっていた。もちろんまともな意見もあったが、それを初心者に区別させるのは難しそうだ。

ところが、意外とまともだったのは、AV系(オーディオ・ヴィジュアル)の雑誌。オーディオ専門誌のような忖度は少ない。また家電批評などオーディオが主でない月刊誌もまともだと思う。1万円前後のアンプ、DAコンバーターをきちんと評価しているのである。

よい相談相手がいないと、1千万円掛けましたと言っても、どうかなというシステムも出来てしまう。 かと思うと、数十万円くらいでも、よくまとまった音のするシステムもある。

もちろん何を聴くのか、何を聴きたいのか、どのくらい音楽を聴いてきたのかによって、必要なシステムはかなり違うものになるのだが。

とりあえずは、こんなところです。 (12/24/19改)

大音量で音楽を聴き続けると難聴になる話

WHO(世界保健機関)が大音量による音楽鑑賞を「危険な鑑賞」として、中所得以上の国の12〜35歳人口の半数、11億人に難聴リスクがあると警告を発したそうだ。 これを騒音性難聴と呼び、以前は職業病と言われていたが、最近はヘッドホンなどで音楽を聴き続けることで起きる人が増えてきた。 耳は騒音の強さと、さらされている時間との関係がある範囲を超えない様にしなければならない。

高級イヤフォンのシュアー社のHPが、難聴になる恐れのある音量について、セイフ・リスニングするための詳しい解説を載せていて好印象だ。ここでの根拠は、以下に説明する米国の政府機関の出している数字である。

  それでは、OSHA(米国労働安全衛生局)やNIOSH(米国労働安全衛生研究所)が発表している数値を簡単にまとめてみた。 耳を守るためのノイズレベルと暴露時間の組み合わせ限界は、OSHAの基準では、85dBでは16時間。そこから5dB上がる毎に半分の時間となっている。

つまり、90dBでは8時間、100dBでは2時間、110dBでは30分、120dBでは7分30秒である。 人によるのだが、OSHA基準を守っていても難聴になる人が少しいるので、その場合は以下にまとめたNIOSH基準を採用するのが良いだろう。

NIOSHの基準はOSHAより厳しく、85dBでは8時間。そこから3dB上がる毎に半分の時間となっている。つまり、91dBでは2時間。100dBでは15分、109dBでは1分53秒、112dBでは56秒、121dBでは7秒である。 

つまり、ロックコンサートでは1分が限界だ。クラシック・オーケストラでも曲目によっては1時間でも駄目と言うことがあり得る。 なお、WHOは大人は80dB、子供は75dBの音にさらされることを週40時間に制限するよう勧告をしている。 (8/13/19)


振動の話

オーディオの音質改善には振動を考えないといけない。
アンプですら無駄な振動を押さえることで音がよくなる。真空管でも中の構造ががっしりしていると、音にしっかり感が出るし、低音が安定する。アンプの中の配線も思い部品を空中でぶらぶらしていると音に悪影響が出るので固定した方がよい。プリント基板もしっかり留め、振動しないようにしておくのも大切だ。メーカー製では、凝ったメーカー以外は、適当なところが多い。差が微少だからであろう。それでも音楽を鑑賞する側からすると、少しの違いが感動を呼ぶこともあるので手を抜かない方がよいのだ。 電子回路であっても、プリント基板そのものを振動しない材料を使うだけでも音が変わる。基板上の部品が振動しないようにダンプする。シャーシーの裏にもダンパー材を貼るとかも効果があるのである。
中国製のアンプの中でも、振動を押さえることで優れているアンプを見つけた。 プリント基板は、アルミ製の側板にある溝にはめ込んである。さらに、正面と後面パネルで、その基板を挟み、締め付けてあった。日本製でも見たことのないしっかりとした組み付けである。
レコード用のカートリッジは、針先で振動をピックアップするので、レコード盤の溝からの振動ばかりでなく、どんな振動も感じてしまう。しかし、最近の中級以上のターンテーブルの外部ノイズを遮断する能力は非常に高い。また、モーターからの振動は大変少なく、暗いところだと回っているのが分からないほどである。また、アームもよく出来ていて、カートリッジが溝からの振動を取り入れるときに邪魔をしないデザインが完璧に出来る様になったからかと思う。どんなよいカートリッジを使ってもアームが悪いと台無しになるのだが、意外と知られていない。 (8/12/19)

2019年も8月です。この1年で特に大きな動きはなかったかも知れません。
でも、確実に進歩しているようです。

CDがますます売れなくなってきた。銀座の山野楽器ではCD売場の面積を1/4にすると発表。これは、Amazon Prime、iTuneストアなどのストリーミングで聴くことの出来るサイトが普及してきたからであろう。数十万タイトルから好きな曲が聴けることなど普通のこととなって、月額固定サービスだと、何枚聴いても1000円前後だからだ。
この前も輸入盤の新譜からよさげなのを2枚買った。後で分かったのだが何と2枚ともApple Musicにあった。6千円近かったのが、安い月額のメンバーであれば自宅から指定するだけで直ぐに聴けるわけだ。今までなら、銀座のヤマハとか、渋谷のタワーレコードまで行って、探して買うなんて面倒なこともしなくてよくなっている。これでは物であるCDを必要とする人が激減するのは仕方がない。

オーディオ製品はどうかというと、ウォークマンどころかスマホでも結構音がよくなっている。家が狭いので大きな音が出せない人が多いのか、ヘッドホン(イヤホンも含め)も発達して数百も比べて聴ける展示会には、わんさと人が集まる、特に若者たち。ヘッドホンには20、30万円なんて、結構高額なヘッドホンがあって驚くが。イヤホンでも10万円近いのもある。

実際統計を見ても、毎年オーディオ機器全般の売上げは落ち続けているが、ヘッドホン関連だけは急激に伸びているのである。
それは、中級クラスのシステム総額を考えると分かる気がする。
5万円のヘッドホンを使っても、スピーカーを使った従来のオーディオよりもずっと安くすむ。従来からのオーディオ・フェアはじり貧な感じがする。行ってみると中年・老年ばかりがお客だ。高価な商品が多いからかも知れないが。

それほどオーディオ製品を見ているわけではないが、ハイレゾへの動きの後は、それほど画期的な製品が出ている感じはない。ハイレゾは、もはやテレビで言う4Kに近づいていて、あと少しで訴求力はなくなる気がする。

スピーカーを鳴らす高級システムでは、アンプやスピーカーが数十万〜数百万円とか、ケーブルが数万〜数十万円とかする。しかし、ここに中国などの新興国から安くてよい音の出る機器が登場してきた。従来からのオーディオ・メーカーとは違うタイプだ。中国深センには世界的なレベルのメーカーが幾つもあるが、ここにもデジタルアンプやDAコンバーターを作っているメーカーがあり、かなりレベルが高い。

今のところ、オーディオ誌には取り上げられないが、AV系や家電紹介の雑誌では取り上げられている。多分10万〜30万円クラスのオーディオ機器に影響があると思う。差が少ないのである。片や数万円のと、数十万円との音の差が少なければ、どうなるか。実際、お金持ちで実質を重んじる人たちのAVシステムに徐々に浸透しているようだ。 (8/11/19)

2018年も9月になってしまった。オーディオについて何か書いておこう

特に新しいことはないのですが、業界はまだまだハイレゾ押し、の様です。 テレビで4Kと言えば、明らかに画質が違うのですが、オーディオで言うハイレゾではあまり効果はない気がします。
そもそもCDをきちんと再生出来るシステムを持っている方は少ない。そんなシステムで聴いても仕方がないと考えてますが、どうなんでしょう。多少、細かく聞こえるような気がするかも知れませんが、きちんとした(高級な)システムで聞いたら、CDの音でもびっくりすると思います。今まで聞こえなかったリズム、楽器のニュアンス、知らないパッセージが分かり、、息の音、ピアノのキーに爪の当たる音、木管楽器のキーの当たる音、ピアノと壁との距離が分かるほどの微妙な反射音が聞こえてきます。時には歌手が声を出そうとマイクの前で口を開けるのも分かります。
それにハイレゾの音源は高価ですし、復刻を除いて名演奏が殆どありません。第一、名演奏の殆どはアナログ録音で、周波数帯域も15KHzとか20KHzまでかも知れません。ダイナミックレンジもCD以下です。
ただ、最近出ているアンプ、プレイヤー、DACは明らかに価格の割に音質はよくなっています。探せば、少し昔の何分の一かの価格で買えるでしょう。 (9/02/18)

2017年を振り返って

日本のオーディオ界からの提案はなかった気がします。世界的にオーディオ機器の売上げは毎年落ちていて、伸びているのはヘッドホン(イヤフォンを含め)辺りと言われています。それからヘッドフォン含め、Bluetooth機器でしょう。最近のスピーカー、プレイヤーなどもBluetoothが使えるものが増えています。 少し前の不安定なBluetoothしか知らずに、忌避している人もいるようですが、今は接続も簡単ですし、途中で切れることも殆どなく安定しています。音もかなりよくなった気もします。 最近の特徴は、ハイファイを追求するのではなく、ユーザーの音楽の好みに合わせた音作りをしていることでしょう。パンチのある、バスドラムの低音が迫力、高音がくっきりとか。ですから、よいヘッドホンは人それぞれです。 高級オーディオ・メーカーも最近のユーザー環境を考え、以前の様にRCAケーブルのみしか接続出来ないのでは商売にならないので、USB、オプティカル、Bluetooth、LANなどのインターフェースを備えた機器を発売しています。 例として英KEFのスピーカーを紹介しておきましょう。アンプ内蔵のいわゆるパワード・スピーカーです。これより大きなLS50にワイヤレスなどの現代に必要なインターフェースを付けたモデルが世界的に評判となったので、より小型でお値段の手頃なモデルを出したのです。モデル名はLSX。 狭い部屋でも邪魔にならない。普段使いだけど、ちょっと高級な音がする。そんなスピーカーです。 

KEF LSX の解説頁(英語)へのリンク

KEF LSX の解説頁(日本語)へのリンク

(12/14/17)

デジタル・アンプの凄さ 2

デジタル・アンプはどんどんと広がっているようです。マランツの高級アンプもデジタル・アンプ化し、その緻密な表現に評論家も驚いているとのことです。 デジタル・アンプ用のICもよいものが供給され、場合によってはLCR部品を周辺に置くだけの簡単な校正で一流の音が出てしまうことも。
また、アンプの回路を基板に載せたモジュールで供給するメーカーもあり、このモジュールを組み込むことで、簡単に高級アンプやパワード・スピーカーを作ることが出来る。 そんなモジュールメーカーとしてHypex社とかIcePower社など幾つもあります。 また、アンプ単独の製品以外にも、ブルーツースで接続できる小型のスピーカーもあり、これがよいデジタル・アンプICのせいか、凄く音がよい。 つまり、アナログ・アンプが主流の頃は、値段とか筐体の大きさ、重さが音質と比例していたのだが、デジタル・アンプ化以降、値段と音質とが比例しなくなったのだ。 もちろん既存のメーカーは、秩序を保とうとしているが、世界中で参加者が増えたためにその秩序は崩れつつある。 だから、メイド・イン・チャイナの1万円以下アンプが、少し前のアナログ・アンプで数十万円クラスに勝てたりする(全ての側面で勝っているとは言わないが)。 デジタル・アンプで音楽を聴くと、音が前に出る。細かな音をもよく聴こえる。低音がよく伸びて同じスピーカーとは思えないくらいだ。これは以前は相当に高価なアンプでしか出来なかったことだ。 ただ、安目のものでは、デザインが安っぽい、軽すぎ・小さすぎで満足感がない。高能率スピーカーで使うとノイズがやや多めなどの欠点があることも。 欠点が少なく、材料をあまり使わなく、効率がよく、熱が出ないデジタル・アンプは、地球にも優しいし、益々伸びていくだろう。
(9/06/17)

デジタル・アンプの凄さ 

5年以上前でしょうか、デジタル・パワー・アンプのデモを聴きました。まだ数ワット出力の小型のもので、歪率もそこそこなのに、熱が殆ど出ないことが売りでした。主にカー・オーディオなどの用途が考えられていたと思います。
その後、どんどんと出力の大きなアンプ用も発表され、音質はオーディオ装置に使えるほどによくなったのです。
最新の製品では初期の頃のざらつき感は殆ど感じられなくなりました。
デジタル・アンプ以前の、ちょっと高級なパワー・アンプと言うと、筐体側面などにぎざぎざで大きな放熱器が取り付けられており、かなり重いことが高級、高価なアンプの特徴でした。 でも、今は数百ワットもあるアンプでも、小さな放熱器で足りてしまいます。今までのアンプ(アナログ・アンプとも言う)では、時に出力10Wも出ないのに、消費電力は数百Wということがありましたが、デジタル・アンプでは、消費電力の90%以上の出力が得られます。 また、デジタルなのに、ネガティブ・フィードバックをかける技術が進んだために、歪率も0.1%以下、出力インピーダンスも小さくなり、ダンピング・ファクターも1000を超えるものまであるのです。
今では、高級アンプ・メーカーもデジタル・アンプを採用し始めていますし、専用のアンプ・モジュールを供給するメーカーも幾つもあるのです。
アマチュアでも、その様なアンプ・モジュールを購入して、入出力や電源を配線するだけで、高級アンプを組むことの出来る時代になったのです。 電源も軽くて熱の出ないスイッチング・レギュレータを使えば、数百ワットのアンプですら、軽く持ち運びのできるものに出来るのです。 (8/06/16)

クレデンザで家が買えたか 

蓄音器を買う値段で家が建ったという話を何度か聞いたことがあります。 そこで、少し調べて見ました。 米Victorの大型蓄音器にビクトローラ・クレデンザというモデルがあります。ゼンマイを4つも組み合わせ(四丁ゼンマイ)、一度巻くと、20分もの間演奏できるというものです。当時の最高の音質を誇っていたモデルです。扉の材はマホガニーかウォールナット。現在、日本の専門店で購入すると100万円くらいです。
当時の価格は$300-$400です。1925年の発売から、少しずつ値上げされてます。当時の為替は約2円/ドル。日本での価格は950円だったそうです。意外と、まともな値付けです。因みに当時の普及型蓄音器の価格は65円です。
不動産価格を調べてみると、昭和始め、田無に50坪土地付きが千円ですから、郊外なら可能のようです。また、米材を使った安普請だと千円以下も可能でしたが、自分用の家なら3千円弱。まともに作るとその2倍程はかかったそうです。
そんな分けで、家は建ったのかと問われれば、答えはYesです。不便な多摩地区なら土地付きでも可能。都内の便利なところだと、上物だけなら建てられますが、貧相な家となります。
(10/14/13)

スピーカーの効率から必要なアンプ出力を考える 

小型スピーカーには効率の悪いスピーカーが多いので、部屋の条件とアンプ出力をよく考えて購入しましょう。便利な方法は、まず、自分の好む最大音圧を設定します。普通は96dBくらい。少し大きめが良ければ、100dBが良いでしょう。それからスピーカーの効率の差を取ります。例えば86dBだと、100-86=14 つまり1Wを14dB分大きくします。計算は、14dBを元の倍数に戻します。まず、10で割って、その答えの数字を、10の乗数にするのです。つまり、14/10=1.4。10の1.4乗は、10^1.4=25で、25Wとなります。最大出力付近は歪みが大きいので、倍の50Wくらいは必要ですね(特にトランジスタアンプ)。
同様にして、最大を96dBであれば、差が10ですから、10Wが答えとなります。倍でも20Wあればよいとなります。
(03/10/13改)

PCオーディオは価格破壊かも 

パソコンのプレイヤーからCDを鳴らしたり、リッピングしたデジタル・ファイルを再生したりするのに、少し前まではオーディオとして、真面目に取り合えるようなものではありませんでした。しかし、ここ数年かなり良質の再生をする方法が出来てきて、さらに安価な製品で高音質というものまで登場してきました。
例えば、USB DACです。何十万円クラスのものは以前からありますが、最近雑誌の付録になるくらいの数千円クラスから、一流品と同等の音質なのに2万円くらいというものまで出て来ました。以前は良い音質の音楽ソースであれば、それなりの高価なアンプとい相場は決まっていましたが、今はデジタル・アンプという以前からのアンプとは原理の違うアンプが登場し、しかもオーディオ業界とは違う売り方をしているので、価格が信じられないほどの製品が探せます。スピーカーは中級のものでも安めのものでも、驚くような音質を達成できるでしょう。勿論デジタルアンプは万能ではなく、中級・上級クラスの音質で鳴らしたい向きにはまだ従来からのアンプ(アナログ式)がまだ必要であるのは確かです。
以前だったら、十万円以上する価格帯の製品の音質と同等或いは凌駕した製品が1/10になってしまうことがあり得る時代に入ったのです。勿論、よい音が本当にするかどうか、よくネットの口コミなどで調べたり、ご自分で聴いてみないと、信頼性の低いもの、思ったほどでないものなど、ブランドだけでは分からない、玉石混淆、戦国時代の様相なので、アンテナは常に伸ばして、探さないといけません。でも、うまく行けば、大変お値打ちものが手に入るのです。 (12/02/12)


オーディオ回路を学ぶ参考書:Tubes and Circuits 

オーディオ・アンプの電子回路を理論から学び、最後に実用になるアンプや測定機器を製作するプロジェクトの解説の付いている本がトランセンド・サウンド社から発売された。著者のブルース・ローゼンブリット氏は、同社の社長であり、アンプなどのキット製品全てのデザインをしたエンジニアである。
例えば、プロジェクトの一つ、300BOTLアンプは、300Bという真空管を4本並列に使用した、1W出力のOTLアンプである。変わっているのは、カソードフォロワーの抵抗の代わりに3端子レギュレータを電流シンクとして使用していることである。出力は小さいが、大変素晴らしい音質のアンプだそうである。ただ、スピーカーは効率が95dB以上のものでないと、十分な音量は得られないので注意。英語なので、少し敷居が高いかも知れないが、役に立つ本である。
なお、本書は米Amazonで購入できる。
なお、この本の書評と翻訳した300BOTLアンプの製作記事は10月号のラジオ技術誌に掲載されている。 (9/16/12)


デジタル・アンプは安くて、省電力で、音がよい 

最近、デジタルアンプの音を聴いた。初期の音と比べると、かなり音質が改善されていることが実感できた。最初は音の良さより、省エネで熱が出ない(小型にするときに大事) 事だったが、当時から安物アンプならデジタルアンプの方が音がよいと感じていた。ところが、最近のデジタルアンプは音質に関してもかなり改善されていて驚いた。そこら辺の10万円以上のコンポより音がよいのである。大型スピーカーで鳴らしても破綻しない、しっかりとした明るい音色。しかも、Amazon.comで見ても、異常に安い。10Wくらいの出力でも3000円しないのである。Tripath TA2020というICを使っているようだ。
ただ、入力が一つでボリュームも安もの。また、ボリューム周りのリングがやたら明るい青の照明がされていて、これがさらに安っぽさを演出している。 そこで、このアンプの基板を取り出して、スピーカー端子をまともなものに変え、入力セレクターを増設、ボリュームを高級品に変え、トーンコントロールはフラットでよければ使用せず、多少効かせた方が良いなら固定抵抗で置き換える。また、電解コンデンサを高級品に乗せ替え、電源も内蔵すれば使い勝手がよくなるだろうし、さらに音の改善が見込まれる。ついでに、中のLEDを減光させるのに、適当なテープで巻いておこう。やる気があれば、オレンジ系のLEDに取り替えると落ち着いた感じになるだろう。 とにかく、この値段で手頃なアンプが買えるのであれば、日本製のコンポは競争力を完全に失っている。(5/14/12)


サブウーファを使うと音楽がより楽しくなる 

Fostexのサブウーファはオルガンの最低音より低い音が出せる。最初は超低音のレベルやクロス周波数がよく分からなかったのだが、70Hz以下くらいに少し足すくらいでジャズもクラシックもよいようだ。
クラシックばかりでなく、実に控えめに超低音でメロディが入っている楽曲がある。この音が聴こえるか、聴こえないかで、かなり音楽の印象が変わるのだ。また、LP時代から低音が凄いと評判の音楽でも、本当の低音の入っていないものがあったり、こう云う発見も楽しいのだ。 それに、最初はサブウーファはステレオに合わせてもう一台購入するか迷っていたのだが、そのような必要性は、現状では殆ど感じない。意外と本体スピーカーが方向を作ってくれるようだ。最も、本体スピーカーのウーファも38僂發△襪、以前測定したときに30Hzくらいまでレベルは下がるものの出ていたので、それも助けになっているのかも知れない。
とにかく、サブウーファを使い出してから、持っているCDで聴いたことのないパッセージが聞こえるようになり、バランスも変わるので、音楽の印象まで変化して、とても楽しい。全部聴き直さなければ。(5/04/12)


よいサブウーファは音のベースを作る 

Fostexのサブウーファを使い始めたら、これが思った以上に音楽鑑賞に有効だと分かってきた。
サブウーファがあると、低音の締まりが変わる。聴こえなかったパッセージが聴こえるようになると、音楽の印象も変わる。ステージの空気感が変わる。ハモンドオルガンや教会オルガンばかりでなく、他の楽器の影に隠れていた低音楽器が浮かび上がってくる。いわば、音楽が、ある立体の形をしているととすれば、その足元に影がついて、しっかりと存在感が増し、よりリアルになると言えばよいだろうか。(9/30/13)


ユニヴァーサルプレイヤーが面白い 

最近、マニアの間で、OPPO社のユニヴァーサル・プレイヤー、BDP95に注目が集まっている。CD/SACDだけではなく、Blu-ray/DVDも掛かり、さらにUSBメモリー内のコンテンツ、ネットのストリーミング(日本では制限あり)なども聴けるのだ。
また、出力もRCA、XLR、デジタルがあり、7.1チャンネルアナログ(8組!)まである。映像は昔ながらのビデオ端子、コンポーネント・ビデオ、HDMIが選べるという端子満載のプレイヤーだ。日本メーカーとは考え方がかなり違うデザインで、日本製の類似品では我慢できない層を引きつけている様だ。
音質もかなりよく、全体のデザインも安っぽくない。マニュアルは素っ気ないのだが、梱包などよく考えられており、アップルに通じる楽しさがある。米メーカーも、かなりよくなっていて、日本メーカーはうかうかしていられないのではないか。
ところで、一般には、機能が殆ど同じで価格が半値近いBDP93でも満足できるのではないかと思う。アナログ部分がマニア向けほど手を掛けていないというだけであるから。(2/20/12)


PCオーディオについて 

最近、PCオーディオというものが流行っているようだ。CDの16ビット、44.1KHzというサンプリングよりも、ハイ・ビット、ハイ・サンプリング・レートの音楽ファイルを鳴らして楽しむのだが、その為に既存のプレイヤーでは再生できずに、パソコンを利用するものだ。音楽ソースは、ネットの専門店で購入ができるし、無料のサンプルも手に入る。ダウンロードして、専用プレイヤー・ソフトで再生し、(普通は)出力をUSBで取り出し、DACにつなぐ。DACの出力はアナログなので、これ以降は普通のオーディオ・システムである。 PCオーディオ専用のDACなどが高級ブランドからも発売されていて、値段も中級クラスのものが多い。
残念ながら、この趣味は完成された形がまだまだ出来ていないのか、ノウハウの固まりのようだ。やれ、OSのバージョンがどうの、プレイヤー・ソフトはどこがよいの、OS備え付けのドライバーをバイパスが必要だ等々、普通のオーディオ・ファンには荷が重い。
苦労をして、音出しに成功しても、この高音質の再生が、きちんと鳴る環境にある人がどれほどいるのかなと思ってしまう。うまく鳴らせられれば、驚くような音が再生されるが、そうでなければSACDとそれほど変わらないように聴こえるようだ。それでも、従来メディアで、闇雲にお金をかけた装置で聴くよりも、よい音が出るポテンシャルはあるので、いじるのが好きな人には、凄く面白い時代なのだろう。
余りよく考えがまとめられないのだが、要は、音楽ソースとしてかなりポテンシャルはあるが、パワーアンプとスピーカーを上手く選ばないと、効果が薄れてしまうと云うことだ。音が変化することと、向上したことを聴き分けられない人には、猫に小判と云うことになってしまうまた、特別な録音をした音楽ソースだからといって、名演奏である分けではないので、痛し痒しである。ジャズがジャズらしい時代の演奏であれば、ちょっとよいCDプレイヤーの方が、音がうまくまとまっていて、より好ましいと思うのである。もちろん趣味なのだから、色々いじって楽しむのは構わないのだが、音楽好きの筆者にとっては、再生した音楽が、楽しめるのかどうかが基準なので、もう少し技術が落ち着いてから手を出しても遅くはないと思っている。   (10/27/11)


1bit研究会でHi-Resの音を聴く 

1ビットオーディオコンソーシアム主催の、研究会が早稲田大学で開かれたので行ってきた。忠実度再生を極めた音とはこういうものかと感心した。ちなみにこのコンソーシアムは、早稲田大学の山崎芳男先生と1ビット録音・再生を研究するメーカーとで構成されている。
参考: http://www.acoust.rise.waseda.ac.jp/1bitcons/
詳しくは、いづれ月刊・ラジオ技術誌で報告されると思うが、簡単にまとめてみよう。
ヤマハは1ビット録音されたストリームをそのままDSP-デジタルアンプとつなぐ実験をした。シャープは、スピーカーをドライブする最終波形の歪みを除くフィードバック・フィードフォワード技術を説明。
さらに、PCオーディオでHi-Resの音をPCMと1ビットで聴かせるデモを行った。Fostexのモニター、RS-N2の実力が凄いと言うことがよく分かった。いわゆる高級オーディオで聴く音とは、また次元の違う音があることがよく分かるデモであった。精度の高い音をきちんと再生するとこうなるのかと、かなり感動した。それも、手も出ないようなレベルではなく、サラリーマンが少し頑張れば買える範囲である。最高384KHz・24ビットや1ビット録音の音まで聴かせていただいたが、変なお化粧もなく、素顔が美しいという感じの音。PCMもかなりよいのだが、1ビットの音は聴きやすく、凄く精度が高いにもかかわらず、LPの感じがあるという人もいた。とにかく、巷では安っぽい音が氾濫しているが、高級な音も確実に進歩していることがよく分かって、安心した。 (10/24/11)

音が素晴らしい20年前の小型スピーカーを発見 

たまたま友人の要らなくなったスピーカーを借りて鳴らしてみた。アンプは以前ご紹介したイチカワCT-322miniという真空管アンプである。
参考: http://www.ichikawa.co.jp/trans/trans_01.html  
スピーカーは高さが25センチくらいで、底面は16センチ四方なので、手のひらに載せられる。ユニットの口径は5インチというところか。ただし、このユニットは同軸デュアル・コーンで、ツイーターは独立したドライブユニットである。数日間鳴ならしっぱなしに近いほど、ジャズ、ポップス、クラシックをかけてみたが、破綻がなく、心地よい音で鳴ってくれた。クラシックでも、本当の低音は出ないものの(スペックでは80Hzから)、バランスがよく、低音があるべきときに分かるのも素晴らしい。バランスも抜群である。さて、そのスピーカーとは、TEACのS-300Rというモデルだ。元々は、3万円くらいで売り出したスピーカーだが、オークションなどでは5千円くらいで出ていることもある。見つけたら、即買した方が良いと思う。くれぐれも安物トランジスタアンプにつないで、大したことないという間違った評価をしないように。上質なアンプが絶対に必要だ。
今はアルテックの大型スピーカー(38センチウーファー+ホーン・スピーカー)に15Hz位まで出るサブ・ウーファをかませ、真空管OTLでドライブしているウェッブマスターだが、歳取って断捨利をするなら、この組み合わせで十分と思ったくらいだ。 (7/11/11)

蝋管(シリンダー)の再生音はどんな音? 

最近、エジソン社のシリンダー式蓄音機を聴いたのだが、かなり驚嘆したので、ご報告したい。
よく録音の歴史的演奏をまとめたCDでは、1925年前後のSPレコードの音は、かなり聴ける演奏だが、シリンダー(蝋管とも)では、演奏がノイズに埋もれているような録音がほとんどであるようだ。しかし、実際に聴いてみると、生き生きとした音がするのである。確かにノイズは少し多いが、蝋管の状態さえよければ、それほど気にならない。
どうも、よほどいい加減な再生装置の音を録音してCDを作っていたとしか思えないが、そのような悪い印象を一般に植え付けたのは問題だと思う。再生周波数の特性を測ってみれば、1925年前後に、電気吹込(マイクとアンプを使用した録音)以降、周波数特性が広がったのは確かであるが、人間の声やバイオリンなどは、それほどの帯域は必要ないのであるから、1910年前後でも、特製をきちんと分かって録音すれば、今聴いても感心する音が出るのである。このことは事実として忘れないでいただきたいのである。(7/06/10)
 

村上春樹の昼寝に使うCDは 

新潮社の雑誌、「考える人」の村上春樹ロング・インタビューのコラムに、「昼寝の音楽」と言う文がある。その中で、村上は昼寝の際に聴く音楽は、シューベルトの「弦楽五重奏曲 ハ長調」で、演奏はヨーヨーマとクリーブランド・カルテットだそうだ。何故かというと、気に障るほど不快でなく、適度に退屈というのがよいらしい。
これを聴くとすぐ寝てしまうので、第1楽章と第2楽章はほとんど記憶がないくらいで、起きる頃に演奏しているのは第3楽章の途中だそうだ。
似たようなことで、僕もアンプやスピーカーの音質をチェックするには、余り名演奏は都合が悪い。いつの間にか聴きほれてしまって、目的を忘れるからだ。よい録音だけど楽しめない演奏がよい。
ところで、あるオーディオ評論家の推奨CDを何枚か買ってがっかりしたことがある。演奏としては実につまらないもののオンパレードであったからだ。彼にとっては、音に集中できるの演奏だったのだろうと思うが、こんな退屈なCDばかり推奨するのなら、事前にその旨をはっきりと書いて欲しかったのである。 (7/06/10)
 

LP(アナログ盤)についての神話 

最近はLPとCDとどちらがよいかと言う人は減ってきたようだ。それは、最近一般の人が聴くCDの音がよくなってきたからだと思う。価格破壊が起きたのである。ちょっと前の100万円が、今は10万円くらいである。ところが、一方ではiPODなどの携帯音楽プレーヤーが普及して、音質よりも便利さを取る人が増えたことにもよるかも知れない。それは残念なことであるし、せっかく微妙な音を聴き取れる能力のある耳に楽をさせているのは、もったいないと思うのである。
さて、神話として、アナログ盤は20KHz以上の高い周波数が入っているので、心地がよい。と言うことを主張する向きがある。しかし、以前つくばの産総研で巨大な無響室やマイクの校正装置を見せていただくためにお邪魔したときに、20KHz以上の音声信号が入っているかどうか、多くの人を対象に実験したのだが、当てた人は皆無だと言っていた。よく人間の聞こえる音の周波数範囲は20Hzから20KHzまでと説明されるが、これは健康な若い人で測った場合で、40歳を過ぎれば16KHzがやっとという感じ。また若い人でも、100%と言うわけでもないようで、私の簡単な実験でもブラウン管式テレビのトランスの唸り音(16KHzくらい)をうるさいと感じる人は、30歳以下の人たちの集団で、半分以下であった。ロックの演奏家に至っては、7KHzという難聴と言ってもよい人が多いそうである。うるさい環境に浸っていると、職業病とも言えるだろうが、高音が聞こえなくなる。皆さん、自分の耳の特性を知らないのに、このような主張をする人がいるようである。 因みに、15KHzでさえ、結構高い音で、60年代に使っていたテープレコーダーは多分15KHzくらいまでしか録音できなかったはず。だから名演奏と言われるものは、クラシックもジャズも、こんなもの。因みに高い音の代表であるソプラノ歌手は2KHzどころか普通は1.5KHz以下である。
ついでに言うと、低音低音という人に、どんな音を低音と言っているのかと確認すると、100Hzより上の音なのに迫力ある低音と言っている人がいる。各周波数のサンプルの入ったテストCDでテストするとよい。なお、安物のステレオでは50Hzを出すと,歪んで倍とか3倍の周波数の音になってしまうものがある。聴こえたからと言って、安心しないこと。大型スピーカーのあるところで、50Hz以下の音がどんな感じになるか、試させてもらっておくとよいだろう。
もう一つ、CDは本来連続した音をぶつぶつに切って棒グラフの連続した値しか記録していない(サンプリングのこと)ので、不正確である。LPの方がだから正確なのであるというもの。しかし、これは素人の議論で、サンプリング周波数の1/2の波形は再現できることが証明されている。確かにLPの音は聴いていて気持ちがよいことは私も認める。それと録音した演奏が、正確に再現されているかは直接の関係はない。演奏から採譜をする人々の意見では、CD時代になってからの方が正確に聴き取れるそうである。
面白いことに、テープ録音したものをデジタル化してCDに納めたものと、SACDというCDより高精細度の盤に納めたものとでは、SACDの方が原音に近いそうである(レコーディング・エンジニアの方が、SACDで聴くとスタジオで聴いた音のようだと)。
これはデジタル化のプロセス品質が上がった為なのかも知れないのだが、デジタル化したから完璧だというのには、まだよく分かっていない部分があるようである。だから、将来の技術の進歩を考えると、アナログのソースをいつ捨て去ることができるかと言う問題は、難しい。  (6/20/10)


改めて、LP(アナログ盤)の音を考える 

ここ数日LPを聴いているのだが、以前聴いたときと音がかなり違う印象を持った。LPだから仕方がないと思っていた60年代初めに録音した、バイロン・ジャニスのスタンウェイ・ピアノが凄く生っぽくなるようになっていた。ガッシリとした枠による弦の音が凄いのである。そこで、久し振りに書き込みをしたくなったのである
これは、去年対策を色々した事の反映なのだが、その時はLP10枚くらいを使ってよい音になったことを確認後、他のLPを聴いていなかったのだ。
その経験で分かったことを,ちょっとまとめてみたい。あまり科学的でない部分もあるかも知れないが、これも耳で感じる官能検査のようなものだから、ご容赦を。
まず、カートリッジである。テクニカの創立45周年記念モデル(MCカートリッジ)にしたこと。ケーブルを高級ケーブルに少し自己流の改造をしたことだ。
よくMCカートリッジでは昇圧トランスと専用アンプとどちらがよいとか、カートリッジはMM型とMC型とどちらがよいかとか、論争がある。また、いまだに昔の放送局用のプレイヤーに執着している方もいる。いずれにしろ音がよければよいのである。しかし、そのためには様々なノウハウがあるし、自分自身もお化粧を施したような音に騙されない耳を持たねばならない。
価格のことを持ち出すのは、ちょっととも思うのだが、分かりやすいので、それで説明しよう(高いからよいとは限らなが、ここでは価格相応の真面目な製品のことを言う。) デジタルのシステムが時と共に安くなっていくのと違い、メカニカルなものは下がらない。だからLPをかけるシステムは、余りに安いことはあり得ないのである。 ターンテーブルは30万円くらいになると、かなりよい。アームは数万では駄目だと思う。カートリッジより前にここによいものを使わないと意味がない。カートリッジはクラシックを多く聴くのなら繊細なMC型しかないと思う。3万5千円くらい以上使って欲しい。しかし、数十万円は、よほど分かってから。高いカートリッジは、音と音の隙間がきちんとあり、静かである。カートリッジの音質はアームがよくないと分かりにくくなる。アームが悪いと、針の振動を吸収してしまうようなのである。また、現在ほとんどのアームが採用している、ユニバーサル接点はできるだけ避けるのがよいと思う。針金を平らな金属部に押し当てる構造がよくないと思う。高級ソケットなどは摺動式が多いので、そのような接点のものをできるだけ選んでいただきたい。ちなみに私は直接半田付けである(ピンに差し込む部品は使用)が、比較するとかなり違う。
 (6/19/10)


ビートルズ リマスター版 

ビートルズのリマスター版を何枚か買ってみたのだが、音のよさに感心した。 それで、モノボックスも手に入れた。かなりの満足度である。
大分前になるのだが、僕のレコード・CDのコレクションが、ジャズやクラシック中心に変わって来て、暫くすると、ビートルズは、もうほとんど聴かないと思い、持っていたLPのほとんどを処分し、好きな曲の入っているCDを数枚購入して、これで吹っ切れたと思っていた。しかし、最近出たリマスター版を聴いてみたら、とてもクリアーで生っぽいビートルズを聴くことが出来たので、かなりびっくりしたのである。 特に良かったのは、リボルバー。ハーモニーがよく聴き分けられて、ギターで刻んだ音が、ロックのレコードとはとても思えないくらいリアル。立派すぎる!と思ったくらいだ。 色々聴き比べてみると、過去に買ったほとんどのアルバムで改善が顕著に認められたのだが、面白いことにサージャント・ペパーズに関しては、輸入盤のLPが、今のマスタリングと遜色がないのである。どういう分け?
とにかく、聴く度に新鮮で、青春が甦ってくる気がする。元気印が付いているようだ。 (4/07/10)


ヒノオーディオ 

昭和27年から続いている秋葉のオーディオ店、ヒノオーディオは、他の高級オーディオ店とは違い、独特の品揃いで、知る人ぞ知るお店であった。お客はアジアを始め、欧州からも来ることがあり(通訳付きのことまで!)、オーディオ各誌編集者や著名評論家の方々、また電機メーカーのエンジニアも多かった。また、お客さんに、経営者や自由業の方が多かったのも、特徴かも知れない。政党の幹部の方も数百万円もするタンノイ・オートグラフをお買い上げになったそうだ。私は見ていないのだが、ソニーミュージックの丸山茂雄氏も時々表れたとのこと。
タンノイのオートグラフ、JBLのパラゴンなどの復刻を手掛け、各種真空管アンプや特殊トランジスタを使用したアンプ、アウトプット・トランス、大型スピーカー・ユニットの開発、大手メーカー製アンプへのコンサル、地方のホール用PAの再調整まで行っていた。
ビンテージ・スピーカー、アンプ類も充実しており、それらを聴かせてもらうと、オーディオ界は何十年もの間、何をしていたのだろうと思うほどの、素晴らしい音が出ていたのである。
その社長の日向野氏が2010年の正月三が日が過ぎたころ、突如旅立たれた。享年76歳。
その前年暮れにお会いしたとき、これからも開発をしたり、スピーカーの音をよくするという夢を語っていたので、信じられなかった。もっともっと、昔の話を聞くのを楽しみにしていたのに…。残念だ。

日向野氏の思うところは、《ヒノオーディオの「オヤジ」から皆さまへのご挨拶》に込められている(リンク切れになっていたので、昔取ったイメージを上に置いておく)。

ヒノオーディオは2012年11月頃突然店を閉じ、その後どうなったのか誰も知らないようだ。オヤジさんの代わりになることは誰にも出来なかったと言うことに尽きるのだろう。
(9/06/13改訂)


格安蓄音機が大人の科学より 

学研の大人の科学マガジンから蓄音機が出ていることを最近知った。値段は7千円台であるが、初期のホーン式のような、えらく凝ったデザインである。

取りあえず、
ここの記事が分かりやすい。
学研のショップは ここ

まず、本物と同じく動力はゼンマイであるのが偉いと思う。それにガバナーと言う、メカニカル調速器もついていて、見ていて楽しそうである。ガバナーには、重いボールが幾つかぶら下がっていて、回転機構の途中に組み込まれている。速度が速すぎると、ボールは外に広がろうとするので、これでブレーキ板を持ち上げることで速度を落とす。つまり、適度にブレーキがかかった状態で適正速度になるようにするのである。
サウンド・ボックスも金属針と竹針の両方が付属している。問題なのは、ほとんどの人がSPレコードを持っていないことなのだが、LP、EPの回転数でも回るようにしている。LP・EPは、塩化ビニール製なのでSPレコードのようには硬くない。だから、この蓄音機でかけると溝が壊れるかもしれないので、捨ててもよいので実験するしかないけれど。
もうひとつ、面白いのは録音もできることで、付属のシートもあるが、使わないCDなんかに音を刻めるそうだ。
針をしまうふたのデザインとか、結構凝っています。と書いていて段々欲しくなってきた。(1/24/09)


高音質CDが、各社から続々と発売された 

日本ビクターのSHM-CD以来、コロムビアのHQ-CD、Sonyのブルー・スペックなど、各社そろい踏みとなっている。どれも基盤のポリカーボネイトを液晶パネル向けの高品質のタイプに替えたものである。量産性は劣るものの、これだけ何社もが出してくるところをみると、売上げが上がったのだろう。何故音がよくなるかは、高級な材料だと複屈折、つまりレーザー光が反射層に届き、反射して、出てくる際に光がいくつかに分かれてしまうのを減らす効果があるということだ。つまり、読み取る際に要らないノイズ成分が減るというものだ。読み出し波形がきれいになれば、最終的なオーディオ出力となるアナログ波形がきれいになるということのようだ。実際聴き比べてみると、音像がクリアになり、高音の解像度が増し、低域の押し出しもよくなると言う感じである。
原理はジッター低減に近いようだが、もしそれだけが要素であれば、高級CDプレイヤーでは効果が薄いか、ほとんどないかも知れない。例えば、CORDのCDプレイヤーでは、データを一度メモリーに蓄えてから、読み出すようにしているので、デジタルデータ出力はCDから切り離されている仕掛けである。厳密な比較でないので、申し訳ないのだが、中級のCDプレイヤーでは相当に効果があることは間違いない。その効果を信じられないという方は、1枚1000円のサンプル版が出ているので、この辺から試してみてはどうだろうか。ポピュラー好きな方であっても、クラシックをお試しになった方が、差がよく分かるだろう。それは音がより複雑だからである。 (1/20/09)


インナーイヤー・ヘッドフォンを試す 

最近、大手電気店に行って様々なインナーイヤー・ヘッドフォン(カナル・タイプとも言う。要するに耳に差し込むタイプ。)を試してみた。ここ数年間で経験したものや、購入したものとも比較してみたので、その感想など書き綴ってみたい。
あるオーディオメーカーの数千円クラスのものでは、すごくハイ上がりのものがあって、うるさいばかりではなく音楽そのものの印象を変えてしまうものがある。とにかく、ボーカルでさしすせそが空気のすれる音ではなく、シャーというような音に聴こえる。このメーカーのものは1万円クラスまでは、改善はされるが傾向は残っている。ただし、3万円くらいになったら、とてもよいものが出ている。以前誉めた、5万円の外国製よりよいかも知れない。一部の通販でしか売っていないが耳道に対して少し斜めに置くものがある。これは少し大きすぎていて長く付けていると痛いのだが、音のまとまりがよい。広帯域でなくても心地よく聴かせるノウハウがあると見た。
よいものは、高いものに多いのだが、それでもこの価格は高すぎるのではないか?大きなヘッドフォンと同等の値付けで、値段と音質とのバランスの悪い製品が多すぎる気がするのだが。逆に、地方の家電屋にもある、ラジオ用のモノラルで安めのイヤ・フォンが耳に当たる部分の形も工夫され音も無理していないのがあり、満足感が高かった。何でも高い方がよいというお客がいる限り、バランスの悪い製品が市場にあふれるのは、仕方がないのかも知れないのだが。選ぶ方からすると、メーカー数社で、安め、中間、高級、超高級くらいになると、各メーカー毎の開発費が増やせるので、パッケージより、実質をよくすることができると思うのだが。 (2/28/08)


音のよいCD、2題 

どちらもユニバーサル・ミュージックが発表した高音質CDである。
まず第一は、一枚20万円のCDである。それは12月中旬発売予定のカラヤン/ベルリンフィルハーモニー管弦楽団演奏の、ベートーベン:交響曲第9番である(1962年録音)。このCDは何と素材がガラスでできている。そのため、レーザー反射の読み取り時に雑音が混じらないというものだ。一般のCDの素材はポリカーボネイトで、これはレーザー光を複屈折するために、本来の反射光とはずれた反射光が混じってしまうとのこと。同社は音質には大変自信を持っていて、比較用に普通のCDも同梱されている。
もう一つのCDはSHM-CDと呼ぶもので、ポリカーボネイト製ではあるが、高級で複屈折が一般素材の半分というものである。これは11月中に発売される。過去の名盤から、ジャズが30枚、クラシックが20枚、同時発売される。同じマスターだというのが信じられないくらい、細やかな音が聴こえるようになる。例えば、ピアノのコードなど、各音がよく聴きわけられるようになる。音が前に出てくるし、不思議なことに、低音もよく分かるようになった。 (11/06/07)


オーディオ愛好家のライブラリー + よい音のするCDなど(2)

オーディオ装置を聴かせてもらうと、時に音に個性があふれ過ぎているのに、気づいていない人がいる。そう言う場合、その人がどんな音を聴いているかライブラリーを見ると、何となく分かることが多い。まず、どんなに装置に金をかけていても、持っているCDなどの数が少ない人の場合、なかなか立派な音は出ていないことが多いようだ。また、音楽ジャンルに片寄りがあると、音のバランスも片寄りがちである(特にポップス系)。好みは別として、ある程度広いジャンルの音楽を置いておく方がよいと思う。特に、生の音の入っている音源は必須だろう。

今回のお薦めCD:
Michael JacksonのBAD とにかく音がクリアで、素晴らしい音質だと思う。締まったドラムの音など、大音量で聴いてもすばらしい。日本製のポップスCDでデジタル録音なのに音の濁っているものが散見されるが、これをレファレンスとして欲しい。歌も彼の絶頂期で素直に楽しい。

マドンナ/エビータ オリジナル・サウンドトラック マドンナがエビータになることが、アルゼンチンで反対が起きたことでも有名な、ミュージカル映画。歪みっぽい再生音になりがちで、難しい。アンプ、スピーカー、ケーブルがよくなると、きれいな音に変わる。システムのチェック用として最適だろう。うまく再生できると、元がよいので、楽しさも倍増する。(9/03/07)

蓄音機の音を改良している人がいる

缶(ほとぎ)史郎氏は予てより、蓄音機のサウンドボックス(LP再生時のカートリッジに相当)の開発をしてきた方ですが、何と全く新しいホーンの試作品「HOTOGY 95」(開発者の年齢に因んで!)を銀座シェルマン アートワークスにて発表しました。私も最近試聴させていただいたのですが、これが素晴らしい音質で、びっくりいたしました。低音もクレデンザのような大げさなものではなく、しっかりとしており、中高域もこれがSPレコードの音だろうかと、感心する音になっておりました。一般的に蓄音機の開発は1950年ころには終わっていたのですが、一人の技術者が取り組むと、まだまだ足りなかったと言うことが、ここに証明されてしまったのです。普通の蓄音機では、まず難しいピアノの再生が、ここまで楽器らしく聴こえる蓄音機を他に知りません。逆に言うと、SPレコードにここまで録音できていたのかという、感慨に浸りました。私も、色々蓄音機の音を聴いてきましたが、ほとぎ氏の蓄音機の音には、ただ参りましたと言うしかありません。蓄音機に興味のある方は、ぜひ試聴をしていただきたいものです。
(8/16/07、8/12/19リンク先訂正)

よい音のするCD/SACDなど

市販されているCDの中には、まともなステレオで再生することを想定していないのではないかと思われるものがある。例えば、ラジカセを想定していて、低音を目一杯上げてあるものだ。そうすると、低音が出ない機械でちょうどよく鳴るのだろうが、まともに低音が出るスピーカーでは低音が出すぎて、歌は小さな声でしか再生できなくなる。そこで、歌を聴こうとすると、低音が途轍もなく大音量となってしまうというものだ。ある女性歌手のCDにあった。また、入っていない高音を無理矢理出そうと調整したものもある。こういうCDでは、うるさくて聴いていられない。録音した時期をよく考えてマスタリングしてもらいたい。LP用に録音したのなら、どういう音のバランスなら心地よいか考えていただきたいものだ。この辺の話は、ジャズ喫茶、メグの寺島氏の本に詳しい。それから、24ビット・リマスタリングと書いてあるのも、信頼できないものがある。これも普通のCDとの音の違いを強調したいがためか、変な音になっているものが時にある。このような変な音のするCDは特に日本製に多い気がするのだが、不思議である。
以下は、まあ買って損はないというものを、何枚か紹介した。最後のSPレコードの復刻版、基本として聴いておくとよいと思ったので、紹介した。他のCDとは大分違うので、無理に買う必要はない。ただ、音を追求したいのであれば、大型蓄音機の音、指定箱に入っている70年前のウェスタンやRCAの音を聴いておくと勉強になるだろう。

まず、イーグルスのヘル・フリーゼズ・オーヴァーです(ユニバーサル、UICY-6026 )。
ビクターから出ていた1500円シリーズの20bitK2マスターのジャズからビル・エバンスとコルトレーンのCD。
ジュニア・マンス・トリオの恋に落ちたとき(M&I、MYCJ-30380)
シベリウスの交響曲第2番(BIS、CD-252)
変わったものでは、米国でよく売れたPhiladelphia Chikensというミュージカル絵本に付いているCDですが、これが凄いです。歌も楽しいのですが、録音がフレッシュです。 Amazonの洋書部で取り扱っています。また、 AmazonでCDのみでも取り扱っています。

NaxosのCDは演奏があまりうまくないとか、音が平板でつまらないと思っている方、いませんか?
それは、たいてい思い違いです。ステレオの音がよくなればなるほど、楽しい演奏に変わっていきます。とにかく、録音が素直で、細かい音がよく入っています。例えば、Cappella Istropolitanaの演奏など買ってみてください。派手ではありませんが、音の味わいが深いことが分かるでしょう。聴いて音色を楽しめるようになれば、あなたのシステムは結構よくなってますよ。

SACDではどちらも輸入盤ですが、A&MのThe Carpenters(カーペンターズ)のSingles 1969-1981とリビング・ステレオシリーズすべてを挙げておきます。

SPの復刻ですが、SPにどれだけの情報が入っているのか、また当時の演奏家のうまさもよく分かる驚異的な音質のものが発売されています。私の持論ですが、よい音を聴き分ける耳を作るには、SPの音を聴いておくことは大切です。周波数特性が最大6,000Hzしかなくても、ここまで表現できることが分かりますので。とにかく、今までのSP復刻の音とは一線を画した録音です。ダイレクト・トランスファーCD-Rとして、コルトー、クライスラー、ティボー、カザルスなどが聴けます。(78CDR-1001〜1039、詳細はグッディーズへ)  (1/06/07、1/23/07)

アメリカの新しい波: iPODのハイエンド版

最近、アメリカのオーディオ愛好家に広まり始めたことは、iPODの考えで高級オーディオを実現するシステムだ。つまり、音楽をHDにたくさん蓄積できる音楽サーバーを設置しそれを屋内LANにつなぎ、家のどこからでも小型端末から音楽をリクエストし聴ける装置である。小型端末は、自分の音楽ばかりではなく、インターネット・ラジオが聴けるものもある。便利なことに、そのような装置では、各部屋からの別々のリクエストに同時に答えることもできるのである。また、音質的にも、ハイレベルであり、マークレビンソンなどの数百万円クラスのメインのオーディオ装置で聴いても、、よほどの人でない限り十分なレベルといえそうだ。余談だが、画面の雰囲気がiTUNEによく似ているシステムもあるが、調べてみると実際iTUNEの開発者も入っていたようである。
残念ながら、日本では安物のiPOD拡声装置のようなものしかないようだが、このような高級なシステムが、日本でも普及すると便利で楽しいと思う。(12.01.06)

ケーブルの力

ケーブル選びは難しいが、努力するに値する対象である。もしあなたが、スピーカーがいまいちだとか、パワーアンプをそろそろ替えようかと思っているとしたら、ひょっとしてケーブルを取り替えるだけで、不満解消ということも不可能ではないからだ。解像度がもう少し欲しい。低域が足りない。低域の締まりが悪い。高音がうるさい。バランスがおかしい。これらは、もちろん各コンポーネントに問題がある場合もあるが、ケーブルの問題であることも多いのだ。だから、各コンポーネントを取り替える前に、ケーブルもトライすると良いだろう。CDプレイヤーに30万円も払うのに、ケーブルに何万円もかけるのはおかしいと思っている人は、多いのではないだろうか。筆者もケーブルに数十万円となると病的だと思うが、数万円くらいはかけても良いのではないか。実際1組5万円までのいくつかのケーブルを最近試してみたが、自分でびっくりするくらい全体のクオリティが上がるものがあったのである。厄介なのは、自分のシステムに合うのはどのケーブルかが分からないことである。とにかく、友人とか、親しいオーディオ・ショップで借りて試していただきたい。出来合いのケーブルが高価な場合でも、端子の付いていないケーブルとピンプラグを部品として購入し、自分で組み立てれば、半分以下のコストでできるだろう。
(12.5.06改)

ソースの力

ここでのソースはもちろん、料理にかけるソースのことではない、音源のことである。我々が手に入るCDは、録音し、編集し、その間に何度もコピーされたあとにできたマスターを元に原盤に焼かれる。デジタルといえども、音をいじってコピーされる毎に音質の劣化は避けられない。そうすると、最初の生き生きとした音には、徐々にベールがかけられ、ディティールはなくなっていく。その途中にお化粧をすると、安い機械ならともかく、高級なオーディオ装置では馬脚が現れて、かえって逆効果になってしまう。
本題は、この編集される前のソースの音はどうかということだ。ほとんど、音の劣化のない方法で、ベテランがシンプルな録音に挑戦すると、信じられない結果を生むことになる。中級のCDプレイヤーと中級のトランジスタ・アンプ、それにやや流行遅れの大型スピーカーでこのような、ソースを聴いた。それは凄かった。本当の演奏かと思うような音がでたのである。こんなリアルなブラスの音をスピーカーで聴いたのは初めてかも知れない。演奏はとても楽しく、演奏の腕が上がったかのように聴こえた。手に入りにくい音源を使っての話で申し訳ないのだが、100万円ちょっとくらいのステレオで、1000万円クラスの出してもこれほどビビットな音を聴くことは無理ではないかと思った次第。オーディオの難しさを知った日であった。無い物ねだりかも知れないが、音質劣化を最小限にしたCDが売り出されれば、オーディオ愛好家から、どんなに支持されることになるか。しかし、このような音に、ほとんどの人が触れることができないのは残念なことである。(10.07.06)

オルソン・アンプのオルソン氏が考えるパワーアンプの出力について

米RCAのサーノフ研究所のオルソン氏が提案した、家庭で必要なパワーアンプの出力についての論文(1951年)を見つけたので、前回書いた話の続きとして紹介したい。オルソン氏と言えば、オルソン・アンプの設計者で有名だというばかりではなく、自分で開発したデュアル・コーンのスピーカー・システムで、本物のオーケストラとの切り替え実験をして見事成功したことでもオーディオの歴史に名を残している。だから、彼の考え方を紹介するのも、現代の物量を投入したようなステレオに対し、アンチテーゼとしても貴重な意見と思う。
彼は、オーケストラの音量ピークを100dBとして、それを再生できなければならないと考えた。歪率については、75dB(ドライヤーの音に近く、結構うるさい)の音量のときに0.75%以下で、それより大きい音では2-3%でもよいとしている。現代の一般の考えでは、これでは歪率が悪すぎると思うかも知れないが、これは歪みの性質にもよるので、スピーカーとパワー・アンプによると言っておこう。耳のよい人が聴いても、歪率が0.1%以下のアンプより、1%以上の歪率のアンプの方が遙かに評価が高いと言うことは稀ではない。周波数特性に関しても、広ければよいと言うわけではなく、オルソン氏は、40-15,000ヘルツで十分と言っている。確かにこれでは、ハイハットの再生ではやや足りない気もしないではないが、楽器の音が重なると区別ができなくなる程度の現代の大衆向けアンプとスピーカーで聴くより、きちんと音が分離し、人間の声がはっきりと生々しく、小さい音も聞き分けられるアンプがこの特性で十分できることも頭に入れておいて欲しい。
さて、主題の出力についてだが、平均75dBの音を出すために、彼のスピーカーでは0.016Wしか必要でなかった。そして、音のピークと平均値の差が10dBという経験則から、必要なのは0.16Wとなった。実際のアンプではこれに安全率(余裕)を考慮して、1/2Wで十分という結論である。また、100dBまでは出したいということを計算すると、5Wのピーク値が必要という計算で、5Wを必要な出力値として結論づけたのである。
ところで、現在手に入る小型スピーカーの効率は、サーノフ氏の使ったスピーカー(93dB/W)より悪いものが多いので、その代表として86dB/Wのスピーカーを考えればよいだろう。するとその差は7dBほど悪い。これは倍数に換算すると、5倍にあたるので、5Wの5倍の25Wが必要となることになる。 音圧と必要出力の関係はこちらの解説に詳しいです。 (10.31.06改)

パワーアンプの出力とスピーカの効率

パワーアンプといえば、殆どのものが100W(ワット)くらいは普通で、ちょっと高級なアンプでは500Wなんてものもある。でも、本当にそんなに必要なのか、考えてみよう。
検討するにはまず、スピーカーのカタログにある効率の値が必要だ。小型のブックシェルフ型では86dB(デービー、またはデシベル)なんて書いてあるだろうし、大型のホーン・スピーカーであれば100dB前後くらいだろう。これはどういう意味かというと、1Wスピーカーに加えたときの音の大きさを表している。だから、同じアンプの出力を加えると、100dBは86dBより大きな音が出るということだ。どのくらい大きいかというと、100dBはうるさい地下鉄の車内くらい、86dBでも交通量の多い道路からちょっと路地に入ったくらいと考えてよい。つまり、1Wあれば、十分な音量と考えられる。別の方向から考えると、相当うるさいレベルで再生するクラシックの交響曲は100dBくらいになるが、(因みに、ベルリンフィルみたいな力のあるオーケストラの最大音量はアンプも何も使っていないのに、ロックコンサートに匹敵する音量であるので耳には注意が必要。)それに使用するアンプは効率の悪いスピーカーでも20〜30Wもあれば出るはず。100dBのスピーカーでは1W以下である。また、せいぜい6畳間だったり、マンションに住んでいて大きな音を出せない場合は、もっと少なくてよく。例えばうるさいオフィス並の70dBくらいにボリュームを絞ると、87dBのスピーカーでも0.1W以下、効率100dBのホーン・スピーカに至っては、たった0.002Wというヘッドフォーン並みの出力で可能なのである。この辺よく考えて、必要以上に大出力のパワーアンプを買うなら、質ののよい小出力アンプを探す方がよいだろう。
ところで、効率について、スピーカのカタログを見ていたら、ちょっと変なことを見つけたので報告したい。
何がおかしいのかというと、以前はスピーカーの効率を表すのに1Wを入力して測っていたのが、2.83Vを入力して測った値になっていたからである。これでは結果を底上げしてしまうことになる。どのくらい数字がずれるかというと、インピーダンスが4オームのスピーカでは、3dBも大きく表示されると言うことだ。3dBって、小さく見えるかも知れないが、実際は50W入れればよいところ、100W必要になるということになるのだ。因みに、2.83Vは、8オームのスピーカに加えると、1Wを入力したことと同等になるという電圧値だ。だから、4オームでは2W入れることになってしまうと言うこと。測定時に2W加えてというと恥ずかしいので、同じ電圧の2.83Vという気づかれにくい値にしたという分けなのだろう。 (5.03.06)

クラシック音楽をもっと売れるようにするには

このテーマはちょっと書きにくい。僕の頭もよくまとまっていないので、僕の意図がうまく伝わるかどうか心配である。
一つの問題は、クラシックが好きになるまでは時間がかかるということである。学校の音楽の時間につまらない思いなどさせてしまうと、一生嫌いになってしまう。テレビもラジオもクラシックの放送は少ないし、すでに好きな人のために難しい言葉でしゃべっているものが多い気がする。かと思うと、あまりに簡単化して本当のクラシックの良さを伝えてないものがある。忙しい現代において、10分以上の長さの音楽をたくさん聴かせて、親しんでもらうこと自体が難しいのである。クラシックの場合、何百年もの蓄積があるので、好きなジャンルを見つけるまでだって、プレスリーを好きになるというのより手間がかかるのだ。
もう一つ、大きな問題は一般に手に入るステレオ装置が、クラシックを楽しく聴くための音のバランスになってないと思うのである。普通にその辺の電気屋さんで売っているステレオを聴くと、まるで、J-POPS専用装置かと思うものばかり、この辺はBOSEやルノーの純正カー・オーディオなどとは、全く違う音作りとなっている。一言で言うと、ボン・シャリと言ったらよい音だ(ドンシャリという言葉がある。低音と高音があがり気味の音のことを言うが、僕には低音のドンというのも出ていなく、焦点が外れているのでボンと言いたい。)。その点、Appleも悪くないのだ。そういう分けで、平均的日本人はクラシックに親しもうとしても、業界全体でよい環境を提供してない気がするのである。これで、クラシックが売れないと嘆かれても、大会社はソフトもハードもやっているのだから、何とか自分で直しなさいと言いたくもなる。
僕も最初は教養主義的に聴いていたのだが、たくさん聴いていくと、ある時点で急にクラシックの素晴らしさに目覚めるようになった。それと並行して自分のステレオ装置の音質が徐々によくなって、様々な要素を楽しめるようになってくると、益々多く聴くようになる。それの繰り返しによって、作曲者や演奏家や歴史などから離れた、音楽そのものを鑑賞する姿勢が出来てきた気がする。
僕の結論は、クラシックのソフトを売りたいのであれば、クラシック再生専用(優先)のステレオ装置を出して欲しい。レコード屋に行くと、シャカシャカした音ばかり聴かせられるが、これは日本独特のバランスの崩れた音なので、直していただきたい。クラシックの売り場なのに、ポップスの音がうるさいので、僕はああいう店に長くいられない。外国から来た大手のレコード屋ですら本国ではあり得ないひどい音を出しているのもどうかと思うが(Towerは比較的よいのだが)。流行ものではないので、じっくり普及させるしか方法はない。聴く人を育てること、まともな音のバランスのソフトとハードを提供することなど、環境作りを地道に続けることしか解法はないと思う。 (4.16.06)

iPOD Hi-Fi

アップル社がiPOD Hi-FiというiPODの再生に使うポータブル・スピーカーを発表した。なるほどアップルらしい、実にうまい企画である。何が他のメーカーの発想と違うのか。それは、本質的に、ユーザーを信頼していることにあると思う。セールスやマーケッティングからのフィードバックとか考えずに(多分)、ジョブスが自分で欲しいものを作ったのだろう。また、企画段階で、あれが足りないだの、これがないとまずいだのの、大会社的な一般化が行われなかったと信じられる、ミニマルでシンプルな製品である。iPODを上に置くと接続される。本体のスイッチを入れる。よい音で鳴る。それだけのものだ。そして、それが売れると信じているとこがアップルのアップルたる所以なのである。(エンコーディングをロスレスにすると、結構よいのだ。)
日本ではまだピュア・オーディオの世界とは別物と考えられているようだが、アメリカではすでに食い込み始めているようなのだ。何百万円のオーディオ装置を持っている人々が、サブのシステムとして注目を始めている。もし、この傾向が勢いを増せば、30万円クラスまでのステレオの市場はまずなくなってしまうかも知れない。また、若者達が音楽をCDの形では買わなくなることも起きるだろう。アップル社はどうも恐ろしいスイッチを入れてしまったのではないだろうか。 (4.15.06)

パッケージソフトの未来

Apple社が日本でもインターネットでミュージック・ストアを開き、大変盛況だそうである。iPODという携帯デジタル・プレイヤーに音楽を沢山詰め込んで聞くスタイルはすでに馴染みのものとなった。また、最近車にもiPODのインターフェースを備えたものが何台も発売されている。それはCDメディアの衰退を予感する。この場合、キーワードは簡便性となるだろう。LPがCDに取って代わられたのは、決して音質がよいからではない。(特に初期はひどかったと思う。)扱いが遙かに楽だったからだ。選曲も一発だし、壊れやすい針、傷つきやすい盤もなく、途中で裏返す必要もなくベートーベンの第九を終わりまで聞けたからだ。今度の革新はどこにあるだろう。1000曲単位で軽いプレイヤーに仕舞っておける。曲の入れ替えも簡単にできる。持ち運びも簡単で、どこでも聴くことが出来る。好きな曲を、お店に行かずに、家からいつでも、一曲単位で購入できる。欠点は一曲がお手頃の値段ではあるが、その分音質が悪い。これはiPODでの利用には問題ないだろうが、パッケージソフト、つまりCDを購入する場合とは大きな違いである。少なくともまともなステレオで聴くには物足りない。また、解説書もないので音楽の背景知識も得られなくなる。CDの市場を狭めて行く、iPODに代表される携帯プレイヤーととインターネットによる音楽の販売は、今後高音質の音楽を聴きたい人にとっては、大変困ったこととなる可能性が高い。これはLPからCDへと移行した事とはまるで違う大きな変化である。音楽を質ではなく、量で供給したら、単に浪費されるだけになるのではないだろうか。しかし、この動きはますます加速されることは間違いないので、音楽産業にはその代替え策も考えていただけるようお願いするしかない。 (10.21.05)

SACDは必要か

スーパオーディオCDを最近よく聴いている。聞いてみると確かに普通のCDでは出せない音がする。レコーディングを行っている方に聞くと、スタジオで聴いている音に非常に近い音がするそうである。そのこと自体はとても素晴らしいことだ。しかしながら、この規格を推進しているソニーとフィリップスが普及を真剣に考えているように見えないのが残念なことだ。問題はどこにあるのだろうか。まず、SACDのソフトはCDとの互換性がないことだ。それを補うためか、ハイブリッド(SACDとCDの両方の層を持つソフト)版が出ている。出てはいるのだが、専用版とハイブリッド版と両方足しても、ソフトの種類はきわめて限られている。渋谷のタワー・レコードの様な大型店に行っても棚一つあるくらいで、その中から聞いてみたいものは20枚とない。これではとてもSACDプレイヤーも買う動機になりにくいのではないだろうか。その他の普通のCDショップに行くと、店員自体が知識がない。だいたい、棚に差さった状態でSACDかどうか分からないソフトが沢山あるのはどういうことか、メーカーの姿勢が信じられない。
もう一つの問題は高価なSACDプレイヤーで一般のCDを聴くと、値段に相応した音がしないことが多いのである。そうすると、SACDプレイヤーでCDを再生することをあきらめて、CD専用プレイヤーを別に持たなければならない。これでは本格的普及には遠いのではないだろうか。
システム全体への費用効率を考えると、クラシックの交響曲を生に近づけたいという方以外の方には薦められない。クラシックでも50-60年代のハイファイ録音のSACD版が最近出ているが、これらもあまりお薦めすることは出来ない。差はもちろんある。しかし、その差は僅少である。そのために1000円以上のメディアの差、SACDプレイヤーへの30万円以上の出費はとうてい正当化できないと僕は考える。すでに何十万枚か分からないほど種類のあるCDの再生音質を改善した方がどのくらい音楽ライフを充実させるだろうか。 (8.18.05改)

iPOD ShuffleとSHURE E5cを体験する

iPOD Shuffleという重さがたった22gしかないシリコン携帯音楽プレイヤーにはまっています。その姿からは想像できないほど音楽が楽しめるプレイヤーです。付属のイヤフォンは平均点よりはよいのですが、プレイヤーの実力に合ってません。それで、きちんとしたヘッドフォーンをつないでみたら、結構びっくりしました。次に、僕のメインシステムにつないでみたら、破綻しないのです。クラシックをかけるにはやや無理があるかも知れないのですが、ジャズを聴くには十分です。それから、よいイヤフォンがないか探していたところ、ShureのE5cというがみつかりました。これは値段がすごく高いので万人向きとはいいにくいのですが、音はすごいです。Shureにはもっと安い製品もありますが、比較にはなりません。買うならこれでしょう。 (4.1.05)

LPレコードをさらに聴き込んでみたら

以前、LPレコードが意外とよい音がすると書きましたが、ここ数週間にわたってLPをまた集中して聴いています。アンプやセッティングをいじってCDの音もその間によくなって来ていたのですが、このシステムで、LPをきちんと聴いてみようと思ったわけです。プレーヤー周りを整備して、新型のMCカートリッジを取り付けて、聴き始めたら、あっという間にはまってしまいました。
今まで書いてきたことと矛盾するようですが、明らかにCDよりよい音がする場合があると認めなければなりません。同じタイトルのCDとも比較したのですが、CDではけっしてカバーできない領域があるように感じます。以前、LPには独特のウォーム・サウンドがあると言いましたが、少し不正確でした。カートリッジ、アーム、ターン・テーブルのレベルが上がってくると、そうとも言えません。CDとは明らかに違いますが、より正確になってきます。私の場合、低域のバランスがやや多めになって、生で感じるがCDでは聞こえにくい部分がよく聴こえてきます。これはトーン・コントロールで低域を持ち上げた気持ち悪さはありません。あと、より感情に訴えてくる気がします。同じタイトルの音楽を聴いても、LPを聴いている方が体が動いてきます。ですから、ちょっとLPを捨てることができなくなってしまいました。困ったものです。(4.27.03改)

LP再生システムは回転体と微少信号ピックアップの組み合わせですから、大変に微妙なものです。例えば、ターンテーブルの軸の状態がほんの少しでも悪ければ、音に影響します。回転がおかしいとは思えないかったのに、オイル数滴でワン・ランク音質が上がったことが実際にあります。カートリッジをあれこれ替える前にするべきことは、よいターンテーブルとトーンアームを揃えることです。土台がよくないとレコードに録音された音は多かれ少なかれ団子になったり、音質が生っぽくなくなり、微妙な音は消えてしまいます。問題はコストで、あまり安くはないのです。(12.31.03追加)

以上はCDの再生に出来るだけ負けないようにという考えでまとめたものですが、もともとLPが盛んであった頃のことを考えるとあまり神経質に考えない方法もあるのではと思った次第。それには昔の定評のあるシステムで組んでみることです。あるいは周波数特性を必要以上に広げないことです。アンプは最新のものでも構わないのですが、LP音楽の楽しさを減ずるものであってはいけません。古いカートリッジ、MCトランスと古いスピーカーで聴くと、ゆったりとした気分で聴くことが出来るのです。CDの再生とは逆でしっかりとした中音が充実しているのです。(8.18.05追加)


音楽になっているのか

このタイトルで書くのはとても難しいし、理解してもらえるか心配な内容です。テレビ東京の人気番組に「お宝鑑定団」なる番組があります。出場者で本物を見分ける力のある人がとても少ないことに気づくでしょう。印刷品を美術誌で見た国宝そっくりだと主張する方までいらっしゃいます。そういう人に限って、本物を実際に並べている博物館、美術館に足を伸ばすことをしていないようです。鑑識眼を付けるには、本物を直接、しかもたくさん見ることしかないようです。そうすれば、よろしいものかどうかは感性でほとんど区別が付くようになるそうです。
オーディオにもそういうところがあります。再生音が音楽として聞こえればよいオーディですと言うことが出来ます。これには私自身は納得しているのですが、それを他人に伝えることはかなり難しい。私はすばらしい音を聞いたと、ある人が主張していても、それは印刷物を国宝級の絵だと言っている人と同等かも知れないからです。本物は高いに違いないとか、誰か有名な人の添え書きがあるとかいうことに振り回されて、本物を見ないとだまされてしまうのも仕方ありません。それを避けるには、まともな音のする愛好家の音をいろいろ聞くこと、生の演奏も積極的に聴きに行くこと、そしてそれを何度も繰り返すことです。そのうちにある日よい音が分かるようになるでしょう。残念なことに、そのような耳が出来て初めて先人たちの偉大な言葉の意味が分かってくるし、いい加減なことを言っている人のことも区別が付いて来るようにもなるのです。(7.12.04)


自分自身を確立すること

前回映像が耳の聴く能力を低下させる話をしました。日本メーカーがそれに乗じたとは思いたくないのですが、最近発表される製品の音質に疑問を感じることが多いのです。これは値段が高くてもそうなのですから、ますます困る状況に感じます。一見デザインは昔より遙かに洗練されていて、照明の使い方など高級オーディオのまねではありますが、とても巧みです。しかし、オーディオは音しかないのですから、ここに手抜きがあっては元も子もありません。
宣伝文句は美辞麗句が並んでいます。しかしよく読んでみれば、Aであることが、なぜBであると言えるのか、論理に飛躍のある宣伝も多いのです。この辺は日本の科学教育の失敗で論理の矛盾が分からない人が増えたためかも知れません。結局は消費者のレベルにメーカーは合わせるのですから。ここで、雑誌の記事や宣伝を鵜呑みにしないためにも、自己の確立が必要になるでしょう。自分で聴き、自分で判断する。それだけです。しかしそのためには自己訓練も必要ですから、オーディオも音楽が(本当には)嫌いな人に取っては苦痛となってしまいます。僕はあまり一般的な商品をあまり使用しては来なかったのですが、宣伝につられていくつか試してみたところ、上記のような感想を得たのです。皆さんも、くれぐれも納得のいく製品を購入していただきたいと思います。隔靴掻痒と思う方もいるかも知れませんが、具体的に書くわけにも行かず、このような表現ですので、ご容赦を。(6.28.04)


目は耳をスポイルする

最近5.1チャンネルなど大型テレビとマルチチャンネルアンプが流行のようです。僕も映画が好きなので、家で映画館になればどんなによいかと思ったりもします。しかし、どんな高級品だとしても、音はとてもひどい。もこもこで不明瞭な音を聴かせている。
しかし、絵が付いていればそれも多少は我慢できるものなのでしょう。それは耳をスポイルするからなのです。どういうことかと言うと、目を働かせていると、耳の能力が落ちるということなのです。そうすると、映画を見ている最中は多少おかしな音でも気が付きにくいのです。音楽演奏の録画をしたものを見る場合、とても楽しめるものだったとしても、映像を抜きにして、聴いてみると粗が目立つようになるのです。例えば、結構話題になったダイアナ・クレールのDVDを100インチ以上のスクリーンに映して見たときにすばらしいと思ったのです。若いのに演奏も歌もうまいと感じました。ところが、このサウンド・トラックを家でかけたら、何と下手さがばれてしまって、がっかりでした。ちょっと脳の不思議を感じました。(1.15.04)


2003年:一年経っての感想

1年経って、去年書いたことを見ていたら、それほどの違いがないことにがっかりしました。様々な新製品が表れてはいますが、革新的なものは出てこなかったようです。
電気製品における、今年の話題としては、第三世代携帯、デジタル・テレビ、薄型テレビによるシアターシステムなどでしょうか。どれもピュア・オーディオには関係ありません。また、良い音を目指したものではありません。例えば、デジタル・テレビにおいてもスピーカーは音質よりも画面を邪魔しないところにうまくはめ込めるかということが大事なようです。また、5.1チャンネルのシアターシステムも予算が限られている中、アンプもスピーカーもいい加減にならざるを得ません。ほとんどのユーザーにとって、ジェット機が前から後ろに飛んでいく音はすぐに感じられますが、それがどのくらい正確に再生されているかを気にする人はほとんどいないからです。ユーザーが気が付かず、文句を言われる心配がないのであれば、メーカーもそこそこの製品を出しておけばよいとなってしまいます。それが現状です。また、音のよさを宣伝している少ない例では、車裁用オーディオがありますが、これもいくつスピーカーを使っているか、あるいは出力が如何に大きいかということを言っているだけです。日本人のほとんどは内容や質を気にするよりは、何か数字が大きいことをよいことと信じているようです。これでは音の善し悪しの分かる人を増やすことはまず出来ないでしょう。
ピュア・オーディオに関してみれば、欧米を含めてみれば、地味ではありますが、少しずつ改良を施された製品が出てきています。LP用のターンテーブル、カートリッジ、ヘッドアンプなどは、確かに良くなっています。DAコンバータ、プリアンプなど、良いものがいくつもあります。なるべく大きな視野で製品を見ていれば、必ずよいものが手にはいると思います。ただ、それにはちょっとした努力と他人の意見に左右されない自分の評価基準が必要です。耳の訓練をしなければ、お金を無駄にすることになりますが。(12.31.03)


またシンプルでよい音を発見した。今度はルノーの純正カーオーディオ

フランス車ではシトロエンは元気がよいが、ルノーはあまり話題にならない気がする。もう少し日産のゴーン社長にあやかってほしいものだ。それはともかく、最近ルノーのカーオーディオの音を聴くチャンスがあった。ジャズや、ポップスも聴いてみたがあまりピンと来ない。ところが、いつも家で聴いているNAXOSのナイト・ミュージックをかけてみたら、こは如何に。これはすごい。クラシックの鳴らし方の勘所は、ボーズよりさらにうまい。例えばバイオリンの高域の色気を再現する。クラシックでは必要な低音域の感じもきちんと出るのだ。ピアノもよいし弦もよい。小編成も管弦楽もオペラのアリアもすごくよい。音の厚みも必要なだけ出るし、高域もヤワでないのも感心ものだ。さらに聴き疲れもしないので、理想的な音質である。クラシックの方を大切にする音作りをしているのは、大人の感覚である。しかもこれはルーテシアというマーチクラスの小型車のオーディオなのだ。
ルノーの純正カーオーディオがこれほどの音を作れたのは、よほどのこだわりと見た。日本の車のカタログ、特に高級車では、オーディオにも力を入れているとたいてい書いてある。しかし、何個スピーカーを使っていようが、どんな音場補正をしていようが、音に何を求めているのかわからないものが多いと思う。ルノーでクラシックを聴きながら、首都高を走っていると、すごくシュールな感じがする。気持ちがよく、変に景色と音楽が合うのである。これがそこそこのオーディオの付いている日本の高級車で同じことをしても、音楽は景色とシンクロしない。いや参りました。ついでに言うと、高速での安定性もクラスを超えているし、椅子もすばらしかった。日本車はこんなところ一つ追いついていないのである。(6.19.03)


シンプルなボーズのウェーブレディオCDを使ってみたら

ボーズが通販のみで売っているウェーブレディオCDという、機能としてはCDラジカセみたいなシステムを使ってみた。いわゆるマニアの方が莫伽にするシステムだ。でも、これが存外よいのである。もちろんハイファイではない。しかし、音がよくまとまっているのである。全体にうるさくない。低音部が普通のラジカセとは違い気持ち悪くない。高音も無理せずにしゃりしゃりとすることもなかったのは気に入った。こういうシステムは意外と音の決め方が難しく、飽きずに長く使えるものを作るのには、経験がいる。日本製のこの手のものは、デザインが子供っぽく、長く持つ気が起きないし、所有する喜びがない。刺激的な音がして、家で音楽を聴くにはつらいものがある。
僕は、長年ボーズを聴いてきて、ピュアオーディオには今一かなと思っているのだが、このシステムには正直参った。音も、デザインも、使い勝手にも、とても洗練された味のようなものを感じたのだ。ジャズでもオペラのアリアでも、結構聴かせどころがわかっているなという音がするのである。交響曲では無理があるかもしれないが、流して聴くには十分である。もう一つ、よいことがある。写真で見るととても大きく見えるのだが、実物は意外と小さいのである(A4の紙の上に乗せると両側に数センチ飛び出すくらい)。だからここから出てくる音としては、ますます不思議で面白い。 (2.25.03)


最高の音は君の間近にあるのかも

僕がオーディオに凝って、よい音への追求を始めたのは5-6年前のことだ。その中で、ほんのちょっとしたことがよい音へつながっていたり、その逆に音を悪くする方向であったりしたことを経験した。多くの場合、音がよくなる方法やよいコンポーネントの選び方は、努力もあるが、偶然の方が多かった気がする。と言うことは、僕も含めて、そのちょっとした改善の方法に気がつかない場合も多かろうと思うのである。
例えば、ある日僕のCDプレーヤーが壊れたので、修理に出した。代わりに、某雑誌で特選となったプレーヤーを使ったのだが、これは悲しかった。こんなに音楽が聞こえてこないプレーヤーはなかったのだ。昔は結構よかったと思っていたが、その後のアンプやら環境が変わり、よりよいCDプレーヤーを手に入れた後では、単に正確だが、平板で奥に引っ込む音にしか聴こえなかった。
僕の使っているスピーカーはアルテックのもう20年以上前に買ったものだ。そのころのイメージは、悪い音でないが、最新の録音には合わず、空間が丸く広がるのは嬉しかったが、ホーンが少しうるさいというものだった。色々なアンプで鳴らして、それなりに満足はしていたが、今ではそのころの音には戻したくない。現用のOTLで鳴らすと、別機種の如く変身した。最新のポップスでも30年代のボーカルでも実に生き生きとしているからだ。
プリアンプも、以前の抵抗切り替え式のアッテネーターより、低域は伸びるが不正確で、ハーモニーが分かりにくくなる傾向があった。しかし、僕には気に入らなかった音も、ちょっとボリュームや部品をよいものに交換したら、一流の音になってしまったのだ。
機器を替えたり、改造したりするのは、ある選択なのだが、その時に道を間違えると、いつまでも浮かばれない。例えば、特選CDプレーヤーを基準にしてして、他の部分の改善で音をよくしようとしたら、どうなっただろうか。苦労しても決して今のレベルに達しなかったことだろう。よくないと思ったこともある、図体のでかいスピーカーを捨ててしまえば、もっとお金も時間もかかったと思うのである。この辺のこつがつかめないと、何十年努力をしても、音の具合は上がったり下がったりということになってしまう。特効薬は僕も知りたいくらいなのだが、オーディオショップ以外にも、多くのマニアの家で聞かせてもらうのも役に立つ。それから生の音を、注意深くたくさん聞くことはとても大事だと思う。
耳を清ませば、自分のしていることの確認がよく取れ、悪いと思ったコンポーネントが生き返ることもあるかもしれない。素性がよいものかを見極められれば、遠回りしないでもすむだろう。いつも素直な心で、しかし感度を上げていることを続けて頂きたい。よい音へのパスは、身近にあることがあるのである。 (7.10.03改)


音楽を愛しているエンジニアと会社の必要性

日本のオーディオ製品を聴いていると、まじめだがつまらないという印象のものが多いということだ。これが何故なのかは分からないが、優れた欧米のメーカーには、音決めの段階でのちょっとしたチューニングに優れているということなのかも知れない。歴史的な名機には、日本製では考えられないような特性のものがあるが、聴いてみると不思議とよいのである。パートリッジのトランスの音は、ごく最近の日本製でも適わない気持ちのよい音がするから不思議である。グッドマンズのアキシオム80というスピーカーも特性は暴れているが(設計した本人も今では恥ずかしい特性と僕に言ったことがある。)、こんな音がするのかと今でもびっくりする。また僕の使っているCECのCDトランスポートも有名大メーカーの何倍も高価なものと比べてもずっと音楽性が豊かである。日本の製品ではあるが、ドイツのエンジニアが設計したものと聞く。
見当違いであればと思うのだが、日本の開発においては音のよさよりカタログに乗せる特性を第一に考えている可能性がある。もしも開発エンジニアがこちらの方が音がよいといっても、特性が少しでも汚く見えれば、上司は発売を許可しないのではないだろうか。大きな会社では、もし音がよいと主張したものが、売れなかった場合、社内での言い訳ができないだろうと思うのである。特性のよいものが売れなかった場合は、宣伝や競合製品や経済情勢などを言い訳にしやすいし、それが通る組織が日本には多いのではないかと感じている。
それでも自分のデザインを通そうとするものははまれであろう。Philipsの録音エンジニアであるオノ・スコルツェが歪率なんか20%あってもよいと言ったそうである。こんなことを言える会社は素敵ではないか。細かいことに拘泥せずに、本質を究める者の言葉だと思う。(2.10.03改)


また一年経って、何が変わったのか

ここ一年で、オーディオ界はどう変わったのでしょうか。私にはほとんど変わったようには見えません。雑誌を開けば、新製品の解説と、製品の順番付けばかりで、ジャーナリストらしい議論にお目にかかることはめったにないようです。ユーザーも醒めているのでしょうか。熱い議論などしているのは、ほんの僅かという気がします。
一方、ブロードバンドは急速に普及しています。DVDもVTRを超えたそうです。オーディオは話題にもならず、置いてきぼりになっているようです。デジタル家電は伸び、基本がアナログであるオーディオは落ち目となっているという図式も描けるでしょう。あるいは、ポケットに1000曲も入るMP3プレイヤーの出現からも分かるように、データ-は使い捨てに近くなり、1曲、1曲の感動よりも、量で勝負ということになっています。1枚のLPを買うのにも時間をかけて考えていた時代、1曲を聞くのに真剣にならざるを得なかった時代ではすでにありません。しかし、これが進歩だとすると、悲しい現実と言わざるを得ません。何故なら耳を最大限に楽しませないことは、情報を最大限に感じる頭脳の能力を軽く使っていることになるからです。感性を怠惰に使っては、人生がもったいないと思うのは私だけでしょうか。(1.22.03)


意外とよい音のするパソコンのスピーカー

最近、ブロードバンドでジャズの放送局を聴いていることが多い。インターネット様々である。コンポの音が嫌いな僕でも、楽しめる音質と選曲のよさに感心している。実に不思議だと思うことは、とてもよい音がするのである。安物のサウンド・ボードのスピーカー出力をアルテックのパワー・アンプ付きの2ウェイ・バスレフのパソコン・スピーカーにつないだだけの工夫も何もないシステムだ。周波数帯域も125-18K Hzで、出力7Wというものだが、何がよいのかパソコン売り場に並んでいるどのスピーカーとも一線を画す音質に聴こえる。こんな音がするのに、中級のコンポよりずっと音がよくて安価なのでは、オーディオメーカーが何をしているのかと考えてしまうのだ。(1.22.03)

オーディオフェアに行ってみて考えたこと

インターナショナルオーディオフェアと真空管オーディオフェアに行きました。どちらも、よい情報を手に入れようと真剣なユーザーがたくさん来ておりました。しかし、そこで思ったことは、「オーディオは難しい」という一言です。
フェアーのような会場で、これはすばらしいという音にめぐり合うことが難しいのです。確かに色々難しい条件下でのセッティングでは思うような音にならずに開場を迎えることもあるでしょう。ですが、根本的にはセッティングのプロを養成していない組織の問題が大きいと私は見ます。高名な評論家が会場で「この会社のセッティングにはXX君がいるから安心できる」と、おっしゃっていました。音は結局は人に依るのだと思います。機械を並べて、ケーブルでつなげば一丁上がりとはまず行きません。スピーカーをどこに置くか、台はどうするか、壁の処理、客席の配置、ケーブルの選択、さまざまなノウハウを駆使して、よい音に聴こえるように持っていく力が必要です。まともな音がしていたメーカーは数えるほどしかなく、私の琴線に触れる試聴会をしていたメーカーは残念ながらほとんどなかったのです。しかもすごく高い
心有る評論家の方が、オーディオは死んだということをおっしゃっていると漏れ聞いたことがあります。何が問題なのでしょうか。巷には一式数千万円、そうでないにしても数百万円を要求するものが多くあふれています。問題は、お客が支払ったお金に相当するサービスを受けることが出来ていないことにあると思います。フェアやオーディオ・ショップでいいなと思って買うと、お化粧の部分にだまされるということがあります。買う気で行っているので、普段家で聴くときの感覚を忘れてしまうのでしょう。
一般にフェア会場で聴こえる音は:(1)欠点を隠すような音楽をかける傾向(微妙な音が入っていず、派手に聴こえる音がする。)、(2)欠点が出ないように音量をあまり上げない、(3)専門用語などの言葉の洪水を浴びせたり、光の演出をしたり、動画を入れたりして(画面を見ていると音への評価が甘くなります)、演出によりよい音だと信じさせる、(4) よい音かどうかを気にせずに漫然と音を出している、(5)自信があるので、理屈を言わずに様々なジャンルの音楽をかけている、となるでしょう。この中で、(1)が多かったのですが、その意味するところは...。
予算に応じ、よい音を自宅で聴くことが出来るようにしたいという良心をメーカー、販売店とも持つようにしないとオーディオはよみがえらない気がします。サプライヤーの都合で売るばかりでは、マーケットは広がらず、先細りではないでしょうか。ここに雑誌やオーディオ評論家の生きる道があると思いますが、どうでしょう。売りたいレストランばかりを紹介している、グルメ情報と同じでおいしい店がほとんど含まれないのでは、信用を失いますよね。(9/29/02改)

肉の偽表示ラベルについて考える

タイトルはオーディオと関係ないようですが、実は大いに関係あるのです。なぜ、表示をごまかせたのでしょうか。それは材料の吟味のできないスーパーの仕入れ担当者と、味音痴の消費者にあるからです。それで消費者はラベルに書いてある内容をそのまま信じる分けです。また、この肉の種類、生産方法などの知識がポスターや、売り子さんや、雑誌、テレビなどから入ってきています。これって、技術解説に偏重したり、開発者がどんなすごいエピソードをもっているかと説明している記事に似ていませんか? あるイタリア料理を売りにしている、ファミレスの経営者はこんなことを言ってます。「うちは、味の分かるお客を相手にしていません。」もちろんこのレストランに入れば、材料が吟味してあることを宣伝しています。味のわからないお客であってもプライドはあるし、よいものを食べたという満足感も必要なんです。でも、このレストランはおいしいものを食べたということをお客が信じる程度の品質にしてあるわけです。味の分かるお客を相手にすれば、材料からシェフの質まで厳しく対応しなければなりませんから、コストもかかりますしチェーン店では無理なことでもあります。
オーディオも商売であるならば、こんな経営も正しいのでしょう。もし音の分からないユーザーが多くいるとすれば、そのユーザーたちを満足させる記事や商品も増えるのかも知れませんね。問題は音質のよい製品なのか、マーケティングで売る製品なのかが、耳のよい人以外には分かり難いことです。オーディオ界の混乱は、こんなことからも起きているのではないでしょうか。
誰が設計したとか、どんな回路方式かとか、スペックとかをまず忘れて、音楽を聴いてみてください。音がよいか、悪いか、どちらかしかありません。気に入ったら、判断にミスがないか、資料を補助として使うのはもよいでしょう。しかし、逆はいけません。(5.01.02改)

LPレコードを聴き込んでみたら

システムをつなぎ直して、LP(アナログ)レコードを聴けるように直しました。過去にLPに対して思っていた自分の常識が少しずれていたことを発見しました。つまり、LPも結構いけるぞということです。欠点を上げれば、色々あるのですが音楽を聴くのにそれほどの問題ではないのです。これはアームやアンプが相当によくなって初めて言えることなのでしょうが、自分の思っていた以上に音はいいのです。CD再生のために改良してきたシステムが、LPのためにもよかったようです。以前の組み合わせで苦労していた、ハムやノイズの問題が全くなくなっていたのです。名演がCDで出てなかったり、音のバランスがCDでは気に入らないものもありますので、まだまだ貴重な音源となり得ます。それにいかにも回転してますというようなLPの音とは一線を画した(と、思うが)音になりましたので、教えられなければ音質の違うCDと思ってしまうかも知れません。
欠点:全体音は団子になり勝ちで、特に内周の音が甘い。ボーカルのサ行の音の再現が難しい。ハイハットなど金属をたたいた音が正確でない。中低域の境目あたりから下の音を人工的に加工しているのが感じられるものが多いようです。バスの音はおおむね強調されています。これは当時の再生装置を考えたミキシングの結果とは思いますが、この辺は現在の優秀なアンプで聞き取れてしまいますので、やや気になります。それから、扱いの面倒なことも欠点でしょうか。これを楽しむ人がいることは承知していますが、針圧の調整から、針先の管理、レコードのほこり、磨耗、アームの扱いの難しさなどが欠点と言ってもよいでしょう。
よく、CDのDAコンバータでの変換ミスをことさらに主張している方たちがいますが、何十年も前にLPの針飛びや、トレース歪みなどの問題が当時のオーディオ雑誌で指摘されています。CDでのエラーは、それよりもはるかに軽微なエラーです。問題はそれよりもきちんとできた製品を選ぶことではないでしょうか。デジタルで歪みが出ると倍音関係でない音が出ますので、目立つのは確かです。しかし最近の低ジッターのCD再生を聴いて今までの考えを変える方も多くなってきたと感じています。

利点:やはり独特のウォームサウンドと空間表現でしょう。CDは正確ですが、LPの音と比較するとドライです。やや鼻につく場合もありますが、なぜか楽しい。現在のCD再生で追及しているハイファイシステムとはぜんぜん違うものだと割り切れば、十分に楽しめることが最大の利点。昔のベテランミキサーの安心できる音作りも、神経質にならずにおまかせでゆったりと楽しむことができます。(9.16.02改)


新年になって、改めてオーディオを考える

新アンプの会で聴いたボーカル音の何気ないすごさ、また別の機会に聴いた3ウェイのオール・ホーン・スピーカー+大型サブ・ウーファー付きのシステムで聴いたオーケストラに音というものの深さを感じました。
しかし、オーディオが趣味として最高の部類に入ることは間違いないとしても、業界全体を見回すとやや寂しい状態に成っていることは認めざるをえません。
ひとつは聞き手の力が全体に落ちていること。正しい批判のないところに向上心は生まれません。実際、ヘッドホーンの使いすぎか、ロックコンサートの大音量のせいか、若者で老人と同じくらいしか高音が聴こえない人が増えています。具体的に言うと、16,000ヘルツの音が聞こえない20才前後の若者はどうも1/3くらいはいるようです。それでトーンコントロールの高音を上げたような音がはびこっているのでしょうか。
もうひとつは、オーディオメーカーが音質と関係するような、アンプの正しい測定法を開発できていないことです。だからと言って、よい耳を持った個人に頼ることもできないようです。現在のアンプでは歪率も周波数特性ももはや意味がありません。多分デジタル記録の短い標準音楽を再生して比較し、その差を評価する。また大音量の低音に小音量の高音を乗せた信号、あるいはその逆とかで、きちんと再生できるのかなどを考えるべきでしょう。(デジタル画像の評価にはいくつかの標準画像が決められているようです)必ず差はあるのですから、それを見つける努力はしてもらいたいものです。測定技術も、複雑な信号源も現状で揃っています。後はやる気があるかどうかだと思うのですが。(1.10.02)

新(あたらし)アンプの会に行ってオーディオの真髄を感じた

新(あたらし)さんの主催する試聴会の今年最後の会が12月23日に神田のYMCAで行われました。毎回氏の製作したアンプを聞かせてくれます。氏はクラシックのCDの製作に長年携わってきた方ですが、趣味でウェスタン社の真空管やトランスを使ったアンプを発表されています。入場料は無料ですが、YMCAチャリティーへの協力要請されます。よい音を聴いた後のせいか、協力する方はとても多いようでした。
さて、その音ですが、ボーカルにピアノ伴奏の曲につきましては全く文句のつけようのない音でありました。その場に本物があるようにしか感じません。ピアノの低域、アタック、余韻、声の自然さ、これほど自然で元の音のすべての帯域がそのまま出ている再生装置に初めて出合ってしまったのです。それほどの音です。また電子的に加工した演奏であっても中島みゆきが歌うヘッドライト・テールライト(プロジェクトXのタイトル音楽)はテレビから出てくる音楽とは全く違うように聴こえます。強調した低域も難なくこなし、ボーカルはバックの演奏に全く振られずきちんとそこに存在しておりました。こんな経験はしたことがありません。
一方、この装置でストラビンスキーの春の祭典をかけますと、若干破綻します。これはこの歴史的ホーンが複雑で大音量の音に追いつかなかったようです。公平のために言っておきますが、現代の装置でもなかなか難しい音なんですが。
このとき使用したアンプはモノブロックの300Bのプッシュプル、スピーカーは高域にWE-594Aホーンを、ウーファーはアルテックのA7箱(ヴォイスオブザシアター)に入れたジェンセンのL20でした。
ある意味、音楽再生はすでに完成しているということです。要は使い方を心得ていれば、相当に古いシステム、部品を使用して、現在のいわゆる高級システムをかるく凌駕することができてしまう。これは、どういうことなんでしょうか。例えば、70年前のウェスタンのスピーカーでも次世代CDを聞かせると、本家の発表会より差の分かる音楽を聞かせられる。せっかくすごいプレーヤーを開発したのに、発表会では実力を出すことのできないのは組織的な問題なのでしょうか。残念ですね。消費者は裸の王様だけなのでしょうか。(1.14.02改)

試聴用CDについて

オーディオの音をよくするためには基準を持たなければなりません。それは特定の試聴用CDを持つことです。何枚かのこれはというCDを選んで新しいシステムを選ぶとき、自分の家でも繰り返し聴くのです。自分の頭に音を覚えさせれば比較のときに大変に役立ちます。
私がよく使っているのはステレオサウンドのレファレンスレコード(全10枚)、それとNAXOSのナイトミュージックのシリーズです。ステレオサウンドのものは、ボーカルや、器楽、オーケストラなど幅広く、内容も一流ですので楽しめます。またどこが聴き所かの解説も優れています。いっぽうナイトミュージックですが、システムの性能が非常によく分かるので愛用しています。たぶん一般的なステレオでかけると、名前のとおり夜遅くにかけると心が落ち着いて癒される音楽に聴こえるでしょう。ところが、システムの性能が上がるにつれどんどんと演奏者が前に出てきます。しっかりと弾いていることがよく分かるようにあり、とても眠たくなるような演奏ではありません。うるさくなるのではありません。演奏の内容を積極的に楽しめる音に変わってくるのです。メージャーレーベルの音作りとは違って、素直なよい録音ですのでシステムを選ばず、それゆえに他のレーベルのように特徴をもたないことが、逆に強みとなって、システムの成長に伴ってどんどんと発揮されるようになるのです。値段も安く、大変お勧めです。(10.06.01)

オーディオ用の接続ケーブルの摩訶不思議な理論

CDプレーヤーとプリアンプ、プリアンプとメインアンプなどを接続する(RCA)ピンケーブル(インターコネクト・ケーブル)は安いものでは数百円クラスから、なんと高いものでは10万円を超えるものまであります。確かにケーブルを替えると音が変わる経験をします。それに高いほうがよさそうな音がします。ところで、このケーブルについて、ずいぶんと見当違いの話がされていたり、書かれていることがあります。それで少し私なりに説明してみましょう。
さて、よく言われるのが「反射」ですね。音が悪いのは反射があるのだろうとか、反射を減らす工夫があるとか言っているようですが、実態は「どんなケーブルにも反射はある」が正しいですね。現在市販されているケーブルはラフに言えば100オーム前後のインピーダンスを持っています。一方、アンプの入力インピーダンスは一般的に50キロオーム(50,000オーム)くらいでしょう。するとケーブルのインピーダンスの500倍くらいです。つまり殆ど全反射状態で、これは値段にかかわらず同じくらいです。反射を無くしたければ、ケーブルとアンプ入力のインピーダンスは同じでなければなりません。それにアンプの入力インピーダンスはメーカーごとに違いますから、ケーブル会社はソニーのモデルA用、パイオニアのモデルB用という風に作らなければなりません。でもそんなの見たこと無いでしょう?逆にアンプの入力インピーダンスをケーブルインピーダンスに合わせると、こんどはドライブする側が負荷が重過ぎてドライブし切れません。つまり、ケーブルというものはインピーダンスはミスマッチです。それでも問題はありません。それは電気的に見て、ケーブルの長さはオーディオ周波数から考えて非常に短いからです。短いということは、ケーブルの固有インピーダンスよりは、誘導成分や容量成分、抵抗分が問題となる領域です。どのくらい短いかと言うと、一番高い周波数の20KHzでも15キロメートルもあります。ですから、4メートルのケーブルでも波長の3,750倍もあります。同様に、表皮効果、郡遅延などの言葉も空しいものです。こういう専門用語はテレビの周波数である100MHzくらいにならないと意味の無い言葉です。つまり、オーディオ帯域の5,000倍くらいから上の話だと思ってください。ケーブルの評価記事でも、周波数特性が問題だとか、歪率が大きいケーブルだとか言っているもの皆無なのを気が付いたでしょうか。オーディオ界にはこのような不思議な理論がはびこっています。単にこの音が僕には好ましいと言えばよいところを、生半可な専門用語を使うことで権威付けをしているのでしょうか。皆さんもだまされないようにしましょうね。(1.28.02改)

よいDAコンバータを手に入れると

よいDAコンバータを借りてきて、試聴しました。だいぶ前にデジタルくさい音について書きましたが、その頃と比較しても、製品がよくなっていることを感じます。音の芯がしっかりとしており、再生内容に影響をまったく受けていない感じがします。LP(アナログ)盤を好きな方は同意してくれないかもしれませんが、CDのみで十分満足できるレベルに達していると思います。解像度とか、音の粒立ちとか、昔よく言ってましたが、そんな表現レベルの音ではもはやありません。音があるのです。ただ自然に。
もちろん、スピーカーやアンプのレベルの問題は残りますし、物理的にオーケストラの音量は出る分けもありません。それでもここまで出来ればこれ以上望んではいけないと思っています。CDの欠点はもはや殆どないと感じています。最近、SACDやDVDオーディオなどの次世代オーディオが出てきてますが、現在のCDで十分だと思います。皆さんもオーディオ・ショップに行って、現在のハイレベルなオーディオの音を聞いてみてください。残念なことに、高級店だからといって音がよいとは限らないことです。最近も、これで総額数百万円かとがっかりしたことがありました。歩き回っているとよい音に必ずぶつかりますので、自分の好みのCDを手に行ってみましょう。そのうちよい音も分かるようにきっとなりますから。そんなシステムは高過ぎてという方には、キットをお勧めします。高級なのにリーズナブルな価格のアンプやコンバーターのキットがあります。ちょっと半田付けが出来ると、オーディオの世界が広がるのですが。(6.25.01)

音質が変わると、音楽の好みも変わる (2)

パワーアンプを新しくしたら、音のグレードが上がって、音楽の微妙さが聞こえるし、低域の不足も解消した話を以前書きました。クラシック音楽の印象ががらりと変わったのですが、アンプのエージングも終わりましたので、昔のポップスを聞きました。カーペンターズとビートルズです。
これがすばらしかったのです。和音の響きが聞いたことのないようになります。コーラスも人が歌っている雰囲気がよく出てきます。カレンが歌う前に口を開くところや歌いだしの前に短く息を吸うところ。ポール・マッカートニーの声がクリアーで別人のようにきれいな声であるところ。どちらもバックに隠れていた楽器が浮かび上がりますし、意外と複雑な仕掛けがしてあるところなど、見直しました。やはり一流はすごいなと、感激です。とにかく、昔のCDが生き返ります。
文章での説明は百万語かけてもむなしいものです。実際に聞けば分かるのですが。どう説明したら分かってもらえるでしょうか。課題ですね。(12.24.00)

大きなスピーカーに今更ながら感激する

タンノイのオートグラフというスピーカーがあります。コーナーに置く、背の高さ位で、重さも100キロ以上のスピーカーです。今まで、タンノイで私の気に入った音は聴いたことがありませんでした。クラシックに良さそうな、高域に特徴のある音は知ってましたが、値段の割に感心しなかったのです。ところが、あるオーディオショップに入ったところ、異次元の音がしていました。クラシックもよし、ジャズもよしです。あくまでもステージは大きく、低域も無理をせずに相当低いところまで鳴っています。ここまで低域のハーモニーの聞こえるスピーカーを聴いたことがありません。パイプオルガンを聴いてもこれほど本物の音と共通の音を持っているものも初めてです。もちろん実際に最低音あたりが出るのではないのですが、似ているのです。それでスペインのグラナダにある大きな教会で聴いたオルガンの音を思い出しました。ただこれは普通のタンノイではありません。ユニットをオートグラフの大型キャビネットに合うように改造してあるのです。アンプはトランジスタでも真空管でもよく鳴りますが、特にマッキントッシュのMC275だと雄大です。とにかく、世の中にはまだまだ凄いものが隠れているんですね。 (1.9.02改)

すばらしいOTLパワーアンプが来て、試聴レコードに困る話

OTLアンプ(出力トランスを使用しない真空管アンプ。低域の豊かさで知られるが、安定したアンプを作るのが難しい。出力インピーダンスが高めで、普通のスピーカのインピーダンスに合わないことが多い。)を購入しました。このアンプは米Stereophile誌で、生の音楽に限りなく近い最高レベルのアンプという評価を受けたものです。お値段はステレオでもモノブロックでも1台が$2,000くらいです。比較している他のアンプは1万ドルとか2万ドルですから格安と言えるでしょう。スヴェトラーナ社のEL509を4本ずつパラレルに上下に使っている、出力80Wのモノブロック・アンプと、2本ずつ使用し25W出力ですがステレオのものがあります。このアンプは4オーム負荷まで使えますので、現代の殆どのスピーカーで鳴らせます。私の購入したのはステレオ版です。
聞き込んで行くと、細やかな音の表現、低域のさまざまな要素、ステージの広さ、大きな音でも悠々と出すこのアンプの能力の高さに驚きました。しかも誇張のない音で、全く飽きません。恐るべしは米国のガレージメーカー。また、同時にアルテックのスピーカーがここまで表現するかと感激もいたしました。
結局は、よいアンプがよい音を出すという当たり前の事が分かった次第。複雑な音源を求めると、クラシックそれも交響曲しか試聴に使えないと言うほどの実力のあるアンプです。怖いのは、そのうちこの音でも普通になってしまうなと思ってから一ヶ月立ったら、本当にそうなってしまいました。これ以上望まないと一度は思っても、そのうちにもっとよくしたくなるのが、オーディオの怖さでもあります。(9.16.02改)

音質が変わると、音楽の好みも変わる

パワーアンプを新しくしたら、音のグレードが上がりました。すると、さらに音楽の微妙さが聞こえることと、低域の不足がほぼ解消したことにより、音楽の印象ががらりと変わったものがあります。それはガーシュインとベートーベンです。ガーシュインはその後ジャズ歌手が取り上げる曲を多く作ったことで有名ですが、そのクラシックの作曲は風変わりとは思っていましたが、あまり好きではなかったのです。ところが、このアンプでラプソディーインブルーを聞いたら、虜になってしまいました。音の重なり方に尋常でないテクニックを感じました。やはり、他の大作曲家にも匹敵するクラシックなのだという感じですね。
ベートーベンも同じように印象が変わりました。序曲や小品には小粋なところがありますが、交響曲となるとすぐに大太鼓を持ち出して、野暮な感じがあり嫌いなところだったのですが、これが実は違うなという印象。つまり、絶妙な低域の力となり、男臭いしかもとてもしゃれた音楽なのです。アンプの違いでここまで音楽が違って聞こえるのもおかしいのですが、本当です。生でしかもよい演奏を聞いてない場合、ステレオからの音楽を真に受けてしまうと、評価を間違えるのです。反省して、なるべく生を聞きたいとも思いました。ただし、現在の再生音自身は生に相当に近くなったことは言えますし、生演奏であっても悪い席であれば自分のステレオで聴く方がよいかもしれません。
実際、こう書いてもどんな音か想像できない方が多いと思います。私自身もそうだったのですが、よい音に出会うまでは、よい音が分からないのです。皮肉なことに、よい音が自分からよい音ですよとは言ってくれないのです。ここでは出会いが大切ですよとだけ言っておきましょう。(7.05.00)

スーパーオーディオCD(SACD)について

最近、次世代CDの規格として、SACDとDVDオーディオが出てきました。どちらも、オーディオ・メーカーの展示会などで聴くことができます。第一印象は、ノイズがさらに少ないCDという印象でした。それ程感心しなかったのです。ところが、ある自作アンプの試聴会でSACDを聴き、印象が覆りました。素晴らしいのです。絶対に既存のCDでは出ないレベルの奥行きの深さと、複雑な和音の再現能力は驚嘆するものでした。殆ど生に近いくらいです。主催の方は、録音のプロでしたが、録音スタジオで聴くモニター音に限りなく近い、とおっしゃってました。再生装置が適正であればDVDオーディオもこれに近い可能性があります。
ただし、このソースを生かす装置が問題です。つまり、一般のオーディオ・マニアでは、まず達成できないレベルではないかという気がしました。SACDのプレーヤーの値段は、従来からのCD用プレーヤーの高級機より遙かに廉価ですから(それでも50万円ですが)購入することはできるでしょうが、アンプやスピーカーをきちんと選ばないとうまく鳴らすことは出来ないでしょう。従来のCDの音もすばらしいのですが、それすらきちんと再生できない一般ユーザーにはあまりメリットがある規格とは思えません。従来のCDを手ごろな値段できちんと再生するシステムを販売してできて、その次に取り掛かって欲しい規格ではないかと思います。
最近、メーカーから10万円以下のSACDプレーヤーが出ました。聴いた人の話では、SACDはそれなりに違いが出ているとのことでしたが、なぜか従来からのCDの音は値段なりだったそうです。ちょっと判断に困る話ですね。SACDの音はうまく差別化はしているようですが、普段はCDの再生が主に違いないからです。高価な物理測定器の限界を超える規格のオーディオ機器が、この値段で守られてるとは思えないのですが、どうやっているのでしょうか。SACDは発売されたタイトルも少なく、世界の市場に支持されてるようにも思えません。日本発のこの規格はどこへ行くのでしょうか。(10.01.00)

試聴会


試聴会に行くことのある人も多いと思います。残念なことは、その試聴会のお知らせを見ても、目的や対象がはっきりとしないことです。初心者向けなのか、お金持ち向けなのか、ハイエンドなのかが、分からないと無駄足を運んでしまいます。最近も有名な評論家が何人か出る試聴会に行きましたら、せっかくの装置がスピーカーが不適切で、よい音がしなかったのです。これではやる意味がありませんし、せっかく来た人にも失礼でしょう。まさか、殆どのお客さんは音の善し悪しが分からないだろうと甘く見ているとは思いませんが。
確かに初めてのホールで、時間が足りない状態でよい音が出るように調整するのが大変なことは分かります。それでも、もう少し考慮がほしいところです。
これらの試聴会の記事などを見ますと、もちろん批判的な記事は皆無です。音質評価に自信のない方はそれを信じて、自分の耳をそれらの記事に合わせてしまうのではないでしょうか。そうすると頭はますます混乱して、何が正しいか分からない状態に陥るでしょう。こうなると、何十年オーディオをやっていても、よい音を手に入れることはできなくなります。ここから脱出する方法は、自覚しかありません。他人の耳ではなく、自分の耳を信ずることと、生の音楽を沢山聴くこと。それと、音楽そのものを聴くことを目的とすることでしょう。先達はあらま欲しきことなりと徒然草にありますが、よい指導者に早く出会うことも必要です。それが難しいのは確かですし、日本では人のネットワークが欧米より薄いことも障害になるでしょう。そこを避けていては、商業主義の罠に陥ることは間違いのないことだと思います。オーディオは商品ですから、消費者としてはそれをうまく選択する目を養いうまく利用する技を早く身につける事で、最小の投資で最大利益を得ることができるようになるのです。それが分かれば、試聴会は大変役に立ちますし、自分の体験を手っ取り早く増やすことができます。

サラリーマンのエンジニア


日本製品にはユニークなものが少ないと言われ続けています。車などがそうですね。よく走るし、信頼性も高い、でも面白味が少ないというのが大方の評価のようです。オーディオでも似た状況があるようです。オーディオ製品は、電気製品であると同時に、エモーショナルな製品でもあります。音質の傾向の好み、パネルのデザインの好みが、電気的特性と相俟って、聴く人間との一種独特の関係を作るものなのです。ブランドというものは、それを表現する手段です。一部の日本製品は、そういう関係を平気で断ち切ってしまいます。以前言っていたことを簡単に忘れてしまうのです。毎年のように新製品が出せることが不思議、音質にブランドの特徴がない。平気で過去の製品のサポートを止めてしまう。そういうところが一流と言われない所以でもありましょう。値段は高い製品は出していますが、果たして数十年後にも語り継がれて、世界に認められる製品は出せているのでしょうか。
原因の一つが、サラリーマンが企画、設計をしているからだという説があります。簡単に、上司が替わり、転勤があり、販売側がデザインを曲げてしまい、オーディオを理解していないトップが方針を決めてしまう。本当かも知れませんね。

よい音を探求する


よい音は簡単には手に入りません。それはよい音を聞くのは自分自身で他人ではないということです。人任せにはできないのですね。経験のある人のアドバイスを聴くことは大事ですが、あるところからは自分自身で探求しなければ成りません。よいシェフがよい舌を持っているのと同じように、よい音を出しているオーディオ愛好家は、よい耳を持っています。
また、よいワインを一度でも飲めば自分の持っている基準が上がります。値頃感があるワインばかりをあさって、高級なワインを一度も味わうことがなければ、何年掛かってもワインの味は分からないでしょう。同様に本当によい音を一度でも聴けば、よい音はこんなものだと少しは分かるようになるのです。ただそれをしてしまうと、今まで信じていたことが、がらがらと崩れていくのが分かります。私も数年前に、そういう体験をしました。同じCDをかけているのに、全く違う演奏のように聞こえるのです。それから少しはそのときの音に近づけるように努力しました。その後、更によい音に巡り会いました。奥が深いのです。言葉で正確に表すのがとても難しいので、オーディオが一部の人だけのものになっている理由かも知れません。

今よりよい音のする70年前のスピーカー


技術は毎年進んでいくのだから、ステレオの音もどんどんとよくなったはずだと思っている方が、多いのではないでしょうか。でも、実体は違うようなのです。確かに、昔は歪みは多いし、高い音も出なかったし、大出力のアンプもなかった。デジタルの音なんかついこの前にできたのですから。ところが、それは音の貯蔵方法とか、フォーマットの違いであって、音の善し悪しと言う点では本質的なものではないと思うのです。特に、スピーカーにはそれが顕著です。 ある日、秋葉原のパーツ屋さんの入っているビルで買い物をしていると、得も言われぬボーカルの音が空間にしみ込むように広がってくるのです。ナットキングコールの歌でしたが、耳をそっとなでるような音です。どこで鳴っているかも分からないほど、自然な音でした。結局分かったことは、RCAが1929年に作ったスピーカーだったのです。ボックスも正面に花の絵が描いてあり、薄っぺらな安っぽいものでした。木製の細いとがった足が付いています。普通の人が見たら、きっと捨ててしまうようなものでしょう。それが、こんな音は聞いたことがないというほどの音を出すのです。アンプはVT62という、これも古い直熱管のものです。何で、こんな音が今の進んだ日本で、殆ど聴くことができないのだろうと思ったのです。70年前のスピーカーが今の多くのステレオより遙かに高級な音を出すのです。ところで、花の意味が最近わかりました。この部分は厚い刺繍になっていて、高音のうるささを緩和するためのダンピング素材だったのです。昔の人の発想はすごいですね。
全く不思議だと思うことは、最新のCDであっても、この頃のスピーカでも違いがはっきりと分かるのです。それなのに、最近の高価なスピーカーとアンプでも、CDに含まれている微妙な音が出せないものがあることなのです。物理特性は格段によいはずなのですが。(10.01.00改)

24ビットの不思議


最近、DVDオーディオは24ビットだから凄いというようなことを聞くことがあります。確かに凄いことは凄いのですが、その意味はというとCDの256倍の情報量ということとか、周波数帯域が何倍もあるのが凄いということらしいようです。
では24ビットとは何でしょう。データを表すのに2進法で24桁まで使えるということです。これを十進法で表すと約1600万になります。16ビットでデータを表す現在のCDでは約65,000となりますからその差は歴然ですね。この数で音の信号を表すのですが、残念ながら現在の再生装置ではここまで細かく分けることができないのです。アナログ回路だから無限に細かく表現できるはずということはありません。ノイズがあるからです。24ビット全部で音声信号を表すことを考えましょう。CDプレイヤーの最大出力を2Vにします。すると1ビットあたりの電圧は、0.12マイクロボルトとなります。普通のアンプの実用下でのノイズレベルは100マイクロボルト近辺(1ボルトの10,000分の1)でしょうから、この840倍の電圧でもノイズ以下となります。つまりせっかくの細かさもノイズの中に埋もれてしまうことになるのです。もう一つ考えるべきことは、24ビットのデジタル信号をアナログ電圧に変換するコンバータが実質上21ビットくらいまでしか保証していないのです。これもノイズのせいです。アンプの実力と合わせて考えますと、必要なビット数は18から20ビットがいいところでしょう。スピーカのことまで考えるとますます24ビット必要なのか疑問になってきます。周波数帯域も20KHz以上の周波数が聞こえる人は非常に少ないのですから、あまり伸ばすのは考え物です。実際に大学生でも16KHzが聞こえない人が何割もいる事を確認しています。
大体録音エンジニアは、自分が聴こえない音をどうやってバランスを取るのでしょうか。もしできるという方がいるのでしたら、全くモニター音を聴かずに20KHz以下の帯域も調整できるのでしょうか。2年程前ですが、某研究所で測定したところ、数十キロヘルツあたりに変なノイズの入っているものがいくつも見つかっています。超音波が入っているほうが音がよいと思う方のほとんどは、裸の王様ということになるのでしょうか。レコードメーカーも評論家の方も、もう少し音楽に何が必要かを考え直していただきたいと思います。(7.15.02改)

デジタル臭い音って何?


よくCDはデジタル臭い音がしていやだとか、LPはさすがに心地よい音がするという話をする人がいます。果たしてそれは何なのでしょう。LPは確かに心地よい音がします。ダイナミックレンジもCDよりずっと少ないのに、それを感じさせません。しかし欠点もあります。それは針音と埃や傷から来るノイズです。また内周の音は明らかに外周より音は悪いです。レコード盤のそりやゆがみで、音が飛びます。ビニール盤の溝は再生中に針の力でゆがみます。しかも低い音はモノーラルです。それでもいい感じで聞けます。これはLPの性格や限界をよく知っている録音技師の努力と才能のたまものだという意見があります。また、LPには20KHz以上の音が含まれているのがよいのだという主張もありますが、これは眉唾かも知れません。長年音の研究をしている国立研究所の方が、殆どの人は20KHz以上を加えて聞かせても差がぜんぜん分からないのだそうです。
さて、CDです。確かに初期のCDでは一見クリアですが、分かる人には耐え難い音がしていたのは確かでしょう。普及したのは、扱いが簡単だったからです。針を掃除したり、トーンアームを正確に降ろすのも難しくて、レコードをかけるということは、マニア以外は敬遠する作業でした。ですからCDはあっという間に広まったのです。デジタル臭さは、主にデジタルーアナログ変換後のフィルターの出来の悪さとその後ろにあるアナログアンプの出来、そしてデジタル回路から来るノイズを押さえ込めなかった設計の未熟さと実装技術にあると思われます。そのできの悪いCDプレイヤーの印象がまだ尾を引いているのではないでしょうか。
現在もCDの音をよくする試みは続けられていますので、数年前に聞いて駄目だと思った方も聞き直してみるとよいかも知れません。デジタル−アナログ変換器の高精度化、オーバーサンプリングやデジタルフィルタ、アナログフィルタの改良と、アンプの高帯域化、電源の分離、接地回路の工夫など相俟って、大変によくなっています。これらの改良を経て、一流のICメーカーのコンバータやフィルタを組み合わせるだけでも相当なレベルの再生ができてしますのです。きちんとした製品をよく聴いてみれば、デジタル臭さとなどもはや過去のものとなったと信じて頂けるでしょう。(市場にデジタル臭い商品が全くないと言っているわけではありません)(10.01.00改)

CDの音作りを考える


買ってきたCDの音がどうもしっくりこない、音のバランスが変という経験を時々します。24ビット録音だからといって、安心はできません。高音質イコール広帯域と勘違いしているエンジニアがいるようなのです。特に日本製のものに多いのは気のせいでしょうか。ラジカセやミニコンポで聴く人ばかりでないことが分からないのでしょうか。また、元々入ってない音を擬似的に補おうとかしないで欲しいものですね。
自分自身のシステムのグレードアップの度に、よい音のする、あるいは高音質だと思っていたCDの評価が変わってしまうのには驚きます。結局残ったのは、録音時に変な音作りをしていないものなのです。そのようなCDはどんどんと隠れた音が聞こる様になってきて、楽しみがますます増えてくるのです。厚化粧はすぐばれるとということになるわけですね。
例として、BlueNoteを上げておきましょう。昔からこのレーベルの音がしっくりきませんでした。高音のバランスがうまくいかず、人工的で、演奏が楽しめないなと、思っていました。ところが、ある時から急によくなったのです。要するに再生が難しかったようなのです。細かい音までよく拾った録音で、そこをうまく再生できないと破綻してしまいます。私の好きだったVerveはどちらかというと細かい再生の不得意なシステムでもまあうまくいくような音作りのようで、システムがよくなってもそれ程音色の変化はなかったのですが、BlueNoteはだいぶん違ってどんどんと音の微妙な面を見せてくれるようになり、今では大切なコレクションへと変わったのです。有名な録音技師バンゲルダー氏は音作りの名手と聞いているが、それ以前に丁寧で素直な録音素材があるからこそという気がしている。クラシックではEMIの音が、地味だと思って聴いていたら、高級アンプでは見違えるように変わりました。ただし、失敗例もあるようです。クリュイタンス指揮のフォーレ作曲のレクイエムは昔のCDの方がはるかに荘厳で、歌手の声にも張りがありすばらしいのです。これはどうしたのか、最新のリマスター盤は奥行きがなく薄っぺらでがっかりでした。一見解像度も帯域もあるようですが、変な加工が施されてしまいました。同シリーズの他の盤の出来がよいだけに残念でなりません。(10.01.00改)  

TOPへ戻る
HOMEへ戻る